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間葉性異形成胎盤の新たな発症機序解明、SCMC構成因子が関与-佐賀大ほか

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2025年08月29日 AM09:30

流早産などのリスク高いPMDの原因、雄核発生細胞モザイクだけでは説明困難

佐賀大学は8月22日、間葉性異形成胎盤(placental mesenchymal dysplasia:PMD)発症におけるSubcortical Maternal Complex(SCMC)構成因子の関与を解明したと発表した。今回の研究は、同大医学部分子生命科学講座分子遺伝学・エピジェネティクス分野の副島英伸教授、村瀬絢香氏(医学部医学科6年)、青木早織客員研究員、原聡史助教、一丸武作志助教、 長崎大学原爆後障害医療研究所人類遺伝学研究分野の吉浦孝一郎教授、三嶋博之助教、熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座の大場隆准教授(現 熊本総合病院副院長)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Human Genomics」に掲載されている。

PMDは嚢胞状変化を示すまれな胎盤異常で、流早産や胎児発育不全などの合併症リスクが高く、約20%でベックウィズ・ヴィーデマン症候群が合併する。PMDは雄核発生細胞(父親の精子由来の核のみから発生する二倍体細胞)と両親性正常細胞のモザイクが原因と考えられてきたが、研究グループは以前、約3割の症例が両親性ゲノムを保持すること(両親性PMD)、両親性PMDで複数のインプリント制御領域が低メチル化異常を示すことを報告している。

7例の全エクソーム解析で、NLRP遺伝子変異によるインプリント制御破綻を発見

今回の研究では両親性PMD妊娠を経験した7人の母親の末梢血DNAを対象に全エクソーム解析を行い、SCMCの構成因子であるNLRP遺伝子のバリアントを同定した(NLRP5複合ヘテロ(うち1つはフレームシフト)とNLRP2ミスセンスを同定し、NLRP5フレームシフトは病的と評価)。SCMCは、哺乳類の卵子および初期胚に特異的に存在するタンパク質複合体であり、初期胚の発生に重要で、DNAメチル化維持や再プログラミングに関与する。胎盤組織でメチル化解析を行った結果、複数のインプリント制御領域のDNAメチル化異常を検出した。さらに、同一胎盤でも解析部位によってDNAメチル化異常部位が異なるモザイク様の分布を確認した。

受精直後のインプリンティング維持破綻が胎盤でモザイク状に分布、PMDを引き起こす

これらの結果から、SCMCを構成するNLRP遺伝子の機能不全が受精直後のインプリンティング維持破綻を引き起こし、その細胞間ばらつきが胎盤組織内のモザイクとして現れ、両親性PMDに至る機序が示唆された。また、両親性PMDは、複数のインプリント制御領域のDNAメチル化異常が検出されたことから、胎盤におけるMultilocus Imprinting Disturbances(MLIDs)と位置付けられることが示唆された。

SCMCによるインプリンティング維持機構の解明、MLIDsの診断・予防につながると期待

PMDは希少疾患であるが、さらなる症例集積を進め、高度ゲノム解析、in vitro/in vivo単一細胞レベルの機能解析が今後の鍵となる。「SCMCによるインプリンティング維持機構を解明することで、PMDやMLIDsの診断・予防につながることが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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