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胃がん周術期ペムブロリズマブ併用療法、最終解析結果を報告-国がんほか

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2025年08月27日 AM09:20

KEYNOTE-585試験、転移性胃がんでの成果を周術期治療で検証

国立がん研究センターは8月21日、切除可能な局所進行胃がん・胃食道接合部腺がん(以下胃がん)に対し、周術期治療としてペムブロリズマブ+化学療法併用と化学療法単独(プラセボ+化学療法)を比較する国際共同第3相試験「KEYNOTE-585試験」の最終解析結果を報告したと発表した。今回の研究は、同センター東病院の設楽紘平消化管内科長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Clinical Oncology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

胃がんは依然として世界的に主要ながん死亡原因の一つであり、局所進行例でも術後再発リスクが高いことが知られている。近年、化学療法に加えて免疫チェックポイント阻害薬の併用が転移性疾患において生存期間延長を示しており、局所進行例における周術期の免疫チェックポイント阻害薬の役割が注目されてきた。

KEYNOTE-585試験は、周術期(術前・術後)の化学療法においてペムブロリズマブを追加することの有効性・安全性を検証するために企画された。

「化学療法+ペムブロリズマブ」、全1,007人を約5年追跡

KEYNOTE-585試験では、2017年10月から2021年1月までの期間に、局所進行・切除可能な胃がん・食道胃接合部腺がん患者1,007人が登録され、804人が主要コホート、203人がFLOTコホートに割り付けられた。主要コホートでは併用する化学療法として、3週ごと投与のシスプラチン+カペシタビンまたはシスプラチン+5-FU併用レジメンが用いられ、ペムブロリズマブもしくはプラセボを術前・術後に併用した。術前3サイクルと術後3サイクルの化学療法+ペムブロリズマブまたはプラセボが投与され、さらにペムブロリズマブまたはプラセボ単剤による術後治療を最大11サイクル実施した。FLOTコホートにおいては、併用する化学療法としてFLOTレジメン(5-FU、ドセタキセル、オキサリプラチン)が使用された。

主要評価項目には、病理学的完全奏効割合、無イベント生存期間、全生存期間が設定された。また、患者報告アウトカムも探索的に評価された。今回の最終報告時点では、主要評価対象である主要コホートの追跡期間中央値は59.9か月(範囲39.0か月~75.8か月)だった。

病理学的完全奏効割合で有意な改善示す、無イベント生存期間は改善傾向

病理学的完全奏効割合は、ペムブロリズマブ群で13.4%(54/402人)、プラセボ群で2.0%(8/402人)と、ペムブロリズマブ群で有意に高率だった(差11.4%、95%信頼区間8.0~15.3)。この効果は事前に設定されたサブグループにおいてもおおむね一貫して認められた。主要コホートおよびFLOTコホートを合わせた全体集団においても、病理学的完全奏効割合はそれぞれ14.2%対2.8%と同様の傾向を示した。

無イベント生存期間に関しては、主要コホートにおいて、ペムブロリズマブ群の中央値は44.4か月(95%信頼区間33.0か月~69.8か月)、プラセボ群は25.7か月(95%信頼区間20.8か月~36.5か月)であり、ハザード比は0.81(95%信頼区間0.67~0.98)だった。5年無イベント生存割合は、ペムブロリズマブ群47%、プラセボ群37%と、ペムブロリズマブ群で良好な傾向を示した。全体集団でも、無イベント生存期間の傾向は同様だった。これらの結果は以前行われた主要解析時点での結果とほぼ一致していた。

全生存期間で約16か月の延長示す、統計学的な比較は未実施

最終解析時点の全生存期間においては、主要コホートでのペムブロリズマブ群の中央値は71.8か月(95%信頼区間52.5か月~未到達)、プラセボ群は55.7か月(95%信頼区間41.7か月~未到達)だった。ハザード比は0.86(95%信頼区間0.71~1.06)であり、5年生存率はペムブロリズマブ群54%、プラセボ群48%だった。ただし、無イベント生存期間が事前に設定された有意水準を満たさなかったため、全生存期間について正式な両群の統計学的比較は実施されなかった。

新たな安全性上の懸念やQOLの悪化はなし、治療効果はアジアと非アジアで同等

サブグループ解析では、マイクロサテライト不安定性型やPD-L1 CPS10以上の集団でより大きなペムブロリズマブの上乗せ効果が示唆されたが、解釈には注意が必要である。

安全性については、治療関連グレード3以上の有害事象はペムブロリズマブ群で65%、プラセボ群で63%に発現し、新たな安全性上の懸念は認められなかった。主な治療関連有害事象には、好中球減少、食欲減退、下痢、貧血などが含まれ、頻度や重症度は両群でおおむね類似していた。

また、患者報告アウトカムにおいては、治療期間中および治療後における健康関連QOLの変化に大きな差は認められず、ペムブロリズマブ追加による生活の質の悪化は示されなかった。

また、別途探索的に比較されたアジア人集団(387人)と非アジア人集団(620人)においては、アジアにおける5年無イベント生存割合はペムブロリズマブ併用群54.1% vs プラセボ群45.6%、非アジアにおいては37.7% vs 24.3%であり、両群ともにアジアにおける成績の方が良好だったが、ペムブロリズマブ追加によるハザード比はそれぞれ0.81と0.79とほぼ同様だった。全生存においても、アジアにおける5年生存割合は61.3% vs 57.4%、非アジアにおいては50.5% vs 42.6%であり、アジアで良好な傾向だったが、ペムブロリズマブ追加によるハザード比はそれぞれ0.87と0.85とほぼ同等だった。

デュルバルマブ+FLOT療法、新たな標準治療として期待

KEYNOTE-585試験は、ペムブロリズマブ併用による病理学的完全奏効割合の改善と、無イベント生存期間および全生存期間の延長傾向を示した。しかし、無イベント生存期間は統計学的な有意水準には到達せず、また全生存期間の解析は探索的であり、今回の結果をもって標準治療が変更されるには至らなかった。

一方で、同様の局所進行切除可能な胃がん・食道胃接合部腺がん患者を対象に、周術期治療として抗PD-L1抗体であるデュルバルマブとFLOT療法の併用を検討した国際共同第3相試験「Matterhorn試験」においては、病理学的完全奏効割合に加えて無イベント生存期間も統計学的に有意な改善を認め、今後はFLOTとデュルバルマブの併用が全世界的な標準治療となることが期待される。さらには、他の薬剤との併用や再発低リスク・高リスク集団を層別化した治療戦略の検討が望まれると、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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