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メポリズマブ、P3試験で「好酸球増加症候群」の再燃を有意に抑制-英GSK

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2019年12月18日 AM11:15

IL-5を標的とするファーストインクラスのモノクローナル抗体

英グラクソ・スミスクラインは11月13日、)の患者に対する治療として、抗インターロイキン5()抗体薬であるメポリズマブ(製品名:ヌーカラ)を用いた主要な臨床試験において、良好な結果が得られたことを発表した。これにより、メポリズマブがHESの再燃を抑制することを示した初めての治療薬となる。なお、日本を含め、HESの適応症でメポリズマブが承認取得している国はまだない。

HESは、世界中で約2万人が罹患している炎症性希少疾患群。HESの患者では、白血球の一種である好酸球に、持続的かつ顕著な過剰産生が起こる。好酸球がある特定の組織に浸潤すると、炎症や臓器障害が起こることがあり、時間の経過とともに日常生活機能に影響を与える。また合併症も、発熱や倦怠感から呼吸器障害や心臓障害など多岐にわたる。未治療のまま放置すると症状が次第に悪化し、死に至る可能性もある。

メポリズマブは、好酸球により引き起こされる炎症がもたらす疾患の治療薬として開発されたIL-5を標的とするファーストインクラスのモノクローナル抗体。IL-5と好酸球の表面にある受容体との結合を阻害することで、血中に含まれる好酸球数を減少させる。重症好酸球性喘息(SEA)を適応として、2015年に初めて承認されて以降、米国、欧州、およびその他20か国以上で使用されている。欧州および米国では、好酸球性の重症喘息で6~17歳の小児に対する適応が承認されており、米国、日本、カナダに加え、その他多くの国では、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者に対する追加維持治療薬として承認されている。

プラセボと比較し、メポリズマブ群でHES再燃がみられた患者が50%減少

P3試験では、32週間にわたり標準治療にメポリズマブまたはプラセボのいずれかを追加した群の比較を実施。その結果、メポリズマブ群ではプラセボ群と比較し、HES再燃(用量漸増を要する症状悪化または好酸球数の増加)がみられた患者が50%減少し、統計学的に有意な結果が示され、主要評価項目が達成された(56% vs 28%;p=0.002)。

同試験の副次評価項目も統計学的に有意な結果を示し、主要評価項目の結果を裏付けるものだった。詳しくは以下の通り。

・プラセボ群と比較し、メポリズマブ群では、試験期間中のHESの初回再燃リスクが66%低下した(ハザード比 0.34;95% 信頼区間[0.18, 0.67])
・プラセボ群と比較し、メポリズマブ群ではHES再燃の年間発生率が66%低下した(率比 0.34;95%信頼区間[0.19, 0.63])
・プラセボ群と比較し、メポリズマブ群では、疲労スコアが改善した(p=0.036)
・同試験の安全性評価結果は、メポリズマブの既知のプロファイルと一致していた

同社は今回の結果に対し、「メポリズマブには、現時点では限られた治療選択肢しかない消耗性の複合疾患であるHESの患者の治療環境を変える可能性が期待される」と、述べている。なお、同試験の詳細な結果は、今後関係学会で発表され、学術誌に投稿される予定。

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