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心筋細胞のDNA損傷の評価で、心不全患者の治療応答性を予測する手法を開発-東大病院ら

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2019年09月30日 AM11:30

患者の予後や治療応答性を予測することが困難な「

東京大学医学部附属病院は9月26日、心不全の治療をする前に心筋DNA損傷の程度を定量評価することで、心不全患者の予後や治療応答性を高精度に予測する手法を開発したと発表した。この研究は、同大病院循環器内科の小室一成教授、野村征太郎特任助教、候聡志特任研究員、同大大学院医学系研究科の藤田寛奈大学院生、同大先端科学技術研究センターの油谷浩幸教授らの研究グループによるもの。研究成果は「JACC:Basic to Translational Science(Article in Press)」に掲載されている。


画像はリリースより

心不全の経過や治療に対する効果は非常に多様であり、治療薬が効いて心臓の機能が回復する患者がいる一方で、あらゆる治療を尽くしても心臓機能が回復せず、早い段階で心臓移植をしなければ命を救うことができない患者もいる。このような治療に対する効果や予後(病状の経過)を治療前に評価できれば、患者一人ひとりに合った適切な治療(・精密医療)が可能になると考えられるが、現段階ではまだ簡便かつ正確に治療応答性(薬による効果)を予測することが難しく、基本的に画一的な治療が行われている。

研究グループはこれまでに、マウスを用いた心不全の病態解明研究を行い、心不全になると心臓にある心筋細胞の核の中のDNAにキズが生じ()、このDNA損傷の程度が心不全の病態の程度を規定している可能性を見出していた。

感度・特異度ともに8割程度の精度で治療応答性を予測

研究グループは今回、ヒトの心筋細胞のDNA損傷の程度を解析する手法を開発し、58例の心不全患者(研究では拡張型心筋症という原因不明の心筋障害により心不全となった患者を対象に解析)の心筋DNA損傷の程度を解析。すると、治療応答性や予後が悪い患者において、治療前の心筋DNA損傷の程度が有意に強いことがわかった。

さらに解析を進めたところ、治療前の心筋DNA損傷の程度によって、非常に高い精度で(感度・特異度ともに8割程度)治療応答性を予測できることが明らかになった。これらの成果により、心不全患者の「治療応答性の事前予測」を可能にする手法を開発した。

同手法の開発は、臨床現場において診断目的で採取する心筋生検組織の検体を用いる方法であることから、患者に追加の侵襲がないことも非常に大きな利点だ。さらに、心不全の治療において、近年叫ばれている患者一人ひとりに合った「個別化医療・精密医療」を実践する上での基盤的技術となると考えられると、研究グループは述べている。

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