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キイトルーダ、複数の効能・効果で一部変更承認を取得-MSD

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2018年12月26日 AM11:45

MSI-Highを有する固形がんなどで適応拡大

MSD株式会社は12月21日、抗PD-1抗体「(R)」(一般名:(遺伝子組換え))について、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表した。

今回、承認を受けたのは、以下の6項目。

・がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性()を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)への適応拡大
・悪性黒色腫の術後補助療法としての適応拡大
・悪性黒色腫について、固定用量への用法・用量の変更
・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)に対する初回治療としてペメトレキセド+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法としての適応拡大
・PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(扁平上皮癌)に対する初回治療としてカルボプラチン+パクリタキセルまたはnab-パクリタキセルとの併用療法としての適応拡大
・PD-L1陽性(TPS≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する初回治療としての単独療法としての適応拡大

今回の承認取得事項は、いずれも厚生労働省による優先審査の対象となっていた。「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」への適応拡大については、医薬品の条件付き早期承認制度の適用を、悪性黒色腫に関する適応拡大については、希少疾病用医薬品の指定をそれぞれ受け、優先審査のもとでの承認となった。

がん種横断的に適応を有するがん治療薬は国内初

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついたDNAを修復する機能が低下していることを示すバイオマーカー。MSI-Highを有する固形がんは、大腸がん、胃がんや膵臓がんといった消化器系のがんのほか、子宮内膜がんや卵巣がん、乳がん、、甲状腺がんなどでも報告されている。今回のような共通のバイオマーカーに基づいてがん種横断的に効能・効果(適応)を有するがん治療薬は、国内初。なお、キイトルーダの適応判定を目的としたMSI-Highを検出するためのコンパニオン診断薬として、株式会社ファルコバイオシステムズの「MSI検査キット(FALCO)」が承認されている。

悪性黒色腫の用法・用量については、「1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」用法・用量から、「1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」用法・用量へ変更になった。今回の固定用量への変更承認によって、これまでの体重換算による用量設定に比べて利便性が高まるとともに、残薬の削減につながることが期待される。

また、非小細胞肺がんに関しては、今回の適応拡大によりキイトルーダは、PD-L1発現にかかわらず切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する初回治療に使用できる抗PD-1抗体となる。なお、PD-L1の発現状況を検査するためのコンパニオン診断薬として、アジレント・テクノロジー株式会社のPD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」が承認されている。(横山香織)

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