日本で成人の8.4%が罹患する片頭痛、女性に多く社会的負担大
ファイザー株式会社は12月16日、経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP:calcitonin gene-related peptide)受容体拮抗薬「ナルティークOD錠75mg(一般名:リメゲパント硫酸塩水和物)」を発売したと発表した。

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片頭痛はしばしばみられる疾患であり、日本では成人人口の約8.4%、世界では約14%が罹患しているとされている。日本における有病率は男性で3.6%、女性は男性の約3倍の12.9%と報告されている。特に20歳から40歳の女性が多く罹患しているが、医療機関への受診率が低いことが指摘されている。
典型的な片頭痛は、頭の片側にズキズキと脈打つような中等度から重度の頭痛が4~72時間持続することが特徴で、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、通常は気にならないような光、音、においを不快に感じる人が多いとされている。また頭痛が始まる直前に視覚異常などの前兆を伴う患者も一部にいる。片頭痛患者の多くは発作時の痛みやこれらの随伴症状のために、日常生活や仕事に大きな支障をきたしている。さらに、発作のない時にもこれから起こるかもしれない発作に対する不安から、予定を立てるのが難しいなどの社会的負担を抱えている。世界中から取りまとめられた各種疾患の日常生活への支障度に関する調査の結果から、頭痛性疾患、特に片頭痛は障害度の高い疾患として上位にランクされている。
疼痛シグナル伝達に関与のCGRPを抑制、片頭痛の諸症状を軽減
ナルティークは、CGRP受容体を可逆的に阻害する低分子のCGRP受容体拮抗薬。CGRPは片頭痛発作中に血中で増加することが知られており、疼痛シグナルの伝達に関与すると考えられている。リメゲパントはCGRPの作用を抑制することで、片頭痛の諸症状を軽減させると考えられている。同剤は、2024年11月に製造販売承認を申請、2025年9月に承認を取得、2025年10月に薬価基準に収載された。なお、米国食品医薬品局(FDA)においては、2020年2月に急性期治療、2021年5月に発症抑制、また欧州医薬品庁(EMA)においては、2022年4月に急性期治療、発症抑制の承認をそれぞれ取得している。
同社のキム ジンジュ取締役・執行役員プライマリ・ケア部門長は「同剤の発売により片頭痛発作の急性期治療と発症抑制の両方に有効な経口薬が、新たな治療選択肢として加わり、片頭痛に苦しむ患者のライフスタイルに応じた治療選択とよりよい生活に貢献することが期待される」と、述べている。
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