政府はバイオ後続品の使用促進策として、2029年度末までに8割以上置き換えられた成分数が全体の成分数の6割以上とする目標を打ち出している。その実現に向け、2024年の「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」による中間取りまとめでは、医師や保険者向けの講習会実施などが盛り込まれた。
武田氏は、政府目標の達成見通しについて、「各製薬企業に聞くと非常に厳しい状況で、日本でも承認が進まなければ達成できないが、目標として設定した以上は達成に向けて最大限努力するのが責務」と述べた。
長期収載品の選定療養が2024年10月から導入されているが、国はバイオ後続品について、「長期収載品の選定療養も参考にしつつ、保険給付のあり方について検討を行う」との方針を示している。
武田氏は、バイオ後続品のあるバイオ医薬品の選定療養導入に関して、「あくまでも中央社会保険医療協議会で議論して決まるもので、現時点では明示的に議論されていない」としつつ、「予測は非常に難しいが、5~10年スパンで見るとこの議論は必須と思うし、いつかは議論になる」との見解を示した。
また、医療上必要不可欠で安定確保が求められる医薬品に法的位置づけが与えられ、カテゴリー別に必要な措置を取る規定が設けられる見通しであることにも触れ、「法律に記載するなら、原薬から最終製品に至るまでのサプライチェーンに何らかの問題が起きそうな場合は国が責任を持って予防的措置を取り、財政支援も惜しまないよう検討することが重大任務」と指摘。
「これはバイオ後続品にも当てはまる。バイオ後続品の承認審査にどれほどのデータが必要で、製造が難しいか理解されていないが、カテゴリーとしてのバイオ後続品を議論すべき」と訴えた。
バイオ後続品の普及に向けては、薬価に関する問題が「最も高いハードル」と指摘し、「企業がペイできる制度でなければならないが、5年間で数十%も価格が下がり、開発中止となる企業もある。予見性が低いだけの問題ではなく、原価割れの水準となっている」と厳しい現状を説明した。
その上で、「バイオ後続品でも世界で原薬や中間体の奪い合いが起きている中、薬価が低いと買い負けてしまう。バイオ後続品をカテゴリーとして考えないといけないのは、そのような理由がある」とした。