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【日薬連薬価研】薬価改定の対象除外提案へ-26年度改革、新薬と基礎薬

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2025年06月16日 AM10:30

日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会(薬価研)は13日、2026年度薬価制度改革に向け、新薬創出等加算と基礎的医薬品の対象品目について薬価改定からの除外を求めていく方針を明らかにした。今後、新薬創出等加算の対象品を改定対象外とすることについては、▽乖離率などに基づく対象品の選定方法▽薬価差を生まない流通のあり方▽特許満了後の薬価設定のあり方――など制度の詳細を詰める。

この方針は、日薬連が提案していく品目の特性を踏まえた「カテゴリー別薬価制度」の中で提案していく。カテゴリー別薬価制度は、革新的医薬品の迅速な提供、医療上必要性の高い医薬品の安定供給の実現が狙い。市場拡大再算定についても「特例」の廃止や類似品の「共連れ」の扱いなどについて、イノベーションの推進と医療の質の向上の観点から見直しを提案していく方針だ。

新薬創出等加算については、薬価が維持された品目割合は改定を経るごとに上昇している。かつて7割台だったが、24年度本改定では86.6%、25年度中間年改定は91.1%に上った。また、品目が平均乖離率を超えない限り薬価改定の対象から除外された。平均的な加算率も年々縮小傾向で24年度は1.2%にとどまった。

これらの状況から薬価研は、「新薬創出等加算については、市場実勢価格に基づく薬価引き下げ後に加算する仕組みから、対象品目を薬価改定の対象から除外することでシンプルに薬価を維持する仕組みに改め、検討すべきと考える」との結論に至った。

基礎的医薬品については、薬価が維持される仕組みを踏襲し、薬価改定から除外することを提案する。現行ルールの適用については「売上金額シェア(薬価ベース)が最も大きい企業に加え、組成および剤形区分が同一品目のうち薬価が最も高い品目を有する企業が適用を希望した場合のみ、当該成分が基礎的医薬品に指定される運用となっている」ことを見直す必要性を指摘した。

現行ルールでは、薬価が最も高い品目を有する企業が希望しない限り、薬価の低い品目が安定供給の中心を担っている場合であっても指定されない。薬価研は、「安定供給を担っている品目に対して、確実に基礎的医薬品が適用される見直しを検討すべき」と提案した。不採算医薬品再算定の「類似薬要件」の適用不要ケース、最低薬価のあり方の検討も求めていく。

市場拡大再算定については、効能・効果の追加をもって適用されるケースを課題に挙げた。適応追加は「治療の選択肢を増やし、医療の質の向上に貢献するもの」だとし、再算定を適用すれば「開発意欲を低下させてしまう」と指摘。追加適応が希少疾病や小児など市場に与える影響が小さい場合などは適用しない運用の見直しを求めていく。

販売金額が1000億円超などの品目に適用する市場拡大再算定の「特例」については、「単に年間販売額と市場規模拡大率に基づいて薬価が引き下げられることから、再算定の基本的考え方と整合性が取れておらず不合理」と指摘。急激な市場拡大に対しては四半期再算定でも対応可能なことから「特例の廃止も検討すべき」とまとめた。類似品の「共連れ」について、除外品目が限定的で「本質的な解決に至っていない」として取り扱いの見直しを求めていく。

藤原尚也委員長は13日の記者会見で「カテゴリーごとの薬価制度を構築することで、制度設計をよりシンプルにして(要件の明確化と安定的運用により)予見可能性を高めたい」と提案の狙いを説明した。

 

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