医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 骨再生作用/抗炎症効果を兼ね備えた新たな生体活性ガラスを開発-東北大

骨再生作用/抗炎症効果を兼ね備えた新たな生体活性ガラスを開発-東北大

読了時間:約 1分23秒
2024年04月30日 AM09:20

既存の生体活性ガラス、骨欠損部で炎症を引き起こす問題

東北大学は4月22日、既存の生体活性ガラスと比較して吸収性が高く、かつ亜鉛イオンやフッ化物イオンなどさまざまなイオンを放出する生体活性ガラスを開発し、同ガラスが高い骨再生作用および抗炎症効果を示すことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科の近藤威助教、江草宏教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Dental Research」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

歯科や整形外科分野では、重度の歯周病や骨折、腫瘍の摘出によって生じた骨欠損部に対して、さまざまな骨補填材を用いた骨再生治療が行われている。しかし、現在使われている骨補填材には高い生体活性作用はなく、大規模な骨欠損の治療は困難だった。近年、生体内で吸収しながらさまざまなイオンを放出する生体活性ガラスが医療分野において注目を集めており、放出されるイオンが高い生体活性作用を示すことから、骨再生への応用が期待されている。これまでの研究では生体活性ガラスは骨欠損部において骨再生促進作用を示す一方で、長期間残存し、さらには炎症を惹起したため、骨補填材としての臨床応用には課題があった。

亜鉛イオンやフッ化物イオンを放出する仕組みを付与したMPガラス、マウスで作用を確認

研究グループは今回、既存の生体活性ガラスと比較して吸収性の高いリン酸塩系ガラスに、強力な骨再生作用および抗炎症効果を示す亜鉛イオンやフッ化物イオンなどさまざまなイオンを放出する仕組みを付与した新たな生体活性ガラス(Multicomponent phosphate (MP)ガラス)を開発した。

試験管内の検証では、MPガラスが既存の生体活性ガラスよりも吸収性が高く、高い石灰化促進作用、抗炎症作用、抗菌作用を示した。また、マウスの骨欠損部では炎症を惹起せず、強力な骨再生作用を示した。

研究グループは、「今後、MPガラスを用いることで、既存の骨補填材よりも高い生体活性作用を示す骨補填材としての実用化を目指し、大規模骨欠損の治療を可能にする新たな骨再生療法の開発につなげたい」と、述べている。

 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 出血性ショックにおける微小循環変化の可視化に成功、光学的血流計測で-明大ほか
  • MASLD、肝脂肪滴中コレステロールとMASH発症の関連解明-千葉大ほか
  • 心房細動を伴う脳梗塞の再発予防、早期DOAC開始の有効性示唆-国循
  • アトピー性皮膚炎、症状と治療反応に関連するバイオマーカー発見-慶大ほか
  • 大学生の孤独感が「コロナワクチン忌避行動」につながる可能性-科学大ほか
  • あなたは医療関係者ですか?

    いいえはい