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SLEとSSの新規治療につながる自己免疫疾患発症メカニズムを一部解明-京大ほか

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2024年02月15日 AM09:20

SLE/SS発症と複合体ユビキチンリガーゼ「」との関係は?

京都大学は2月9日、直鎖状ユビキチン鎖(直鎖)を生成することで免疫細胞の活性化に重要な役割を果たす複合体ユビキチンリガーゼ「LUBAC」が、(SLE)とシェーグレン症候群(SS)の発症に関わることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の伏屋康寛特定助教、門場啓一郎大学院生、岩井一宏教授、森信暁雄教授らの研究グループと、理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーらの共同研究グループによるもの。研究成果は、「JCI insight」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

SLEとSSは、圧倒的に女性に多い代表的な自己免疫疾患であり、免疫細胞の過剰活性化による自己の構成成分に対する免疫応答を特徴とする疾患だが、両疾患とも病因は未解明だ。

研究グループはこれまでに、LUBACユビキチンリガーゼ複合体とLUBACが特異的に生成する直鎖状ユビキチン鎖を発見し、同ユビキチン鎖が免疫細胞の活性化に中核的な役割を果たす「NF-κB」の活性化を惹起することを明らかにしてきた。さらに近年、LUBACのサブユニットの一つである「HOIL-1L」の酵素活性を阻害することで、LUBACによる直鎖状ユビキチン鎖生成が顕著に亢進し、免疫細胞が活性化されることを見出した。

LUBAC機能亢進<直鎖状ユビキチン鎖シグナル増強<マウスSLE/SS様疾患発症

研究グループは今回、免疫細胞の活性化が自己免疫疾患の発症に寄与することに着目し、LUBACの機能亢進と自己免疫疾患との関連を解析すべく同研究に着手した。

まず、HOIL-1Lの酵素活性欠失によってLUBACの機能が亢進したマウスを詳細に観察したところ、メス優位に角膜傷害を呈することを発見。さらに検索を進めた結果、免疫細胞の異常集族を伴う涙腺傷害、特徴的な自己抗体が検出され、シェーグレン症候群と診断できる所見を得た。

ヒトではシェーグレン症候群はSLEに併発することも多いが、ヒトと同じくHOIL-1L活性欠失マウスでは、メス優位にSLEに特徴的な免疫複合体沈着性腎炎(ループス腎炎)や、SLEに特徴的な自己抗体も検出されたという。加えて、両疾患に特徴的な免疫グロブリンの上昇、リンパ節腫脹も認められたことから、LUBACの機能亢進によって直鎖状ユビキチン鎖シグナルが増強することで、マウスではSLEおよびSS様の疾患が発症することが明らかになった。

HOIL-1Lの特定のSNVがSLE患者に有意に集積、LUBACの機能を亢進

研究グループは、1アミノ酸の変異でHOIL-1Lの酵素活性が消失することがあること、酵素活性が低下するHOIL-1Lが1遺伝子座あるだけでマウスにおいて自己免疫疾患類似症状を呈することを見出していたため、ヒトでもHOIL-1Lの1アミノ酸変異がSLEやSSの発症に寄与する可能性を想定し、HOIL-1L/RBCK1遺伝子の1塩基多型/変異(SNP/SNV)を検索した。

その結果、HOIL-1L R464H変異を惹起するSNV(rs774507518)が、HOIL-1Lの酵素活性を低下させることでLUBACの機能を亢進させることを見出した。さらに、HOIL-1L R464H変異を惹起するSNV(rs774507518)がSLE患者群に有意に集積することを見出し、HOIL-1L/RBCK1がSLEの新規疾患感受性遺伝子であること、LUBACの機能亢進がヒトSLEの発症に寄与することを世界で初めて示した。

LUBACの機能阻害がSLEの新規治療につながる可能性

今回の研究で、LUBACの機能亢進による直鎖状ユビキチン鎖生成亢進が炎症シグナルを活性化させることで、代表的な自己免疫疾患の一つであるSLEの発症につながることが明らかになった。

「本結果からLUBACの機能を阻害することができればSLEの新規治療につながる可能性があると考え、現在、LUBAC阻害剤の開発に向けて着手している」と、研究グループは述べている。

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