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ASD児向け、認知行動療法に基づく新ケアプログラム開発-千葉大ほか

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2023年09月12日 AM11:00

イギリスのASD心理教育プログラム+CBT、患者の自己理解プログラム「ACAT」

千葉大学は9月8日、(Cognitive-behavioural therapy:CBT)に基づいた、児童思春期の自閉スペクトラム症()の子ども向けの新ケアプログラム「ASDに気づいてケアするプログラム(Aware and Care of my Autistic Traits:ACAT)」を新たに開発し、検証した結果を発表した。この研究は、同大子どものこころの発達教育研究センターの大島郁葉教授、土屋垣内晶助教(研究当時)、清水栄司センター長・教授、福島大学の高橋紀子准教授(研究当時)らの研究グループによるもの。研究成果は、「BMC Psychiatry」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

ASDは社会的コミュニケーションの取りづらさと限定的・反復的行動を中核症状とする神経発達症のひとつ。ASDの障害(disability)は、他者と同じようなことができなければならないような環境 (例:学校生活・会社での生活など)とASDの機能障害の相互作用によって規定される。つまり、ASDの障害は環境と個人の相互作用で発生する。認知行動療法(CBT)は、その人を取り巻く「環境」と「反応」の相互作用に着目して、悪循環ではなく、好循環に変えていくことで、うつや不安などのメンタルヘルス改善を狙う心理療法だ。

今回、研究グループは、イギリスのASD心理教育プログラム「PEGASUS」に、個人と環境の相互作用を好循環に変容することが可能なCBTを追加した、ASD患者への自己理解プログラム「ACAT」を開発した。

ASD患者49人+保護者、ACAT群と通常診察群で検証

具体的には、メタ認知やモニタリング、といったCBTの技法を用いることで、ASD患者が自身のASD特性とストレスの関連性を認識することができ、環境に対する調整(合理的配慮)や、自分で行える対処を考案、実行することで、メンタルヘルスの改善が望めると仮定した。また、児童思春期のASD患者には、保護者も患者のASDの特性を理解し、合理的配慮のサポートをしてもらうことが良いと仮定し、保護者も一緒にプログラムに参加してもらう形をとった。

今回の研究では、福島大学と千葉大学で多施設ランダム化試験を実施。10~17歳までのASD患者49人とその保護者を、ACAT+通常の診察を受ける群(ACAT群)と、通常の診察のみ群に無作為に割り付けた。ACAT群は21人で、1回100分セッションを週6回受け、通常の診察のみ群(通常診察群)は22人で、ACATを受けなかった。

自閉特性への気づき向上、子どものメンタルヘルス全般の問題減少

研究の結果、介入前から介入6週間後にかけて、ACAT群のほうが通常診察群に比べ、有意に自閉特性への気づき(Autism Knowledge Quiz-Child:AKQ-C)が向上し、子どものメンタルヘルス全般の問題(Strength and Difficulties Questionnaire:SDQ)が有意に低下した。また、保護者に実施したAKQ-保護者版(AKQ-P)も、ACAT群のほうが有意に自閉特性への気づきが向上した。

今後、青年期以降のASD患者の効果を判定

今回の研究により、ACATは児童思春期および保護者のASDの特性理解度を増やすことが示された。合理的配慮の施行などの機能的な対処方略が増強し、メンタルヘルスの問題の減少が見られたということが考えられる。今後は、青年期以降のASD患者にも効果を判定し、多くのASDの特性に関連する問題で悩む人のメンタルヘルス改善のための、エビデンスのあるツールとして提唱したいと考えている、と研究グループは述べている。

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