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認知機能低下予防のための運動、1人より仲間と行う方が効果的と判明-筑波大ほか

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2023年01月13日 AM10:51

2人以上で行う運動が認知機能に与える影響は不明だった

筑波大学は1月12日、運動は1人よりも仲間と行う方が認知機能の低下予防に効果的であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大体育系の大藏倫博教授と山口県立大学 社会福祉学部の角田憲治准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Archives of Gerontology and Geriatrics」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

運動は高齢者の認知症予防に有効であることが知られており、その効果を高めるためには、45分以上継続する中・高強度運動を高頻度で実践することが推奨されている。このような運動の時間・強度・頻度に関する検討に加え、近年では、集団で行う運動が認知機能の低下予防に有効であることが報告されている。社会交流の充実もまた、認知症予防のために不可欠な要因であり、集団での活動は、社会的なつながりの強化や広がりをもたらす。しかし、これまでの研究では、運動サークルなどの集団運動に注目しており、夫婦や友人などが2人以上で行う運動が認知機能に与える影響については検討されていなかった。また、認知機能の低下予防効果を高める要素の一つである、運動の頻度についても考慮されていなかった。

そこで研究グループは今回、高齢者を対象に、1人で行う運動および仲間と行う運動の実践状況を調査し、認知機能障害の抑制に効果的な運動スタイルと頻度を明らかにすることを目的として研究を行った。

茨城県笠間市在住の高齢者4,358人を約4年間にわたり追跡調査

研究では、茨城県笠間市在住の高齢者を対象とした2017年の郵送調査を起点として、4,358人(平均年齢:76.9歳、女性:51.8%)を約4年間にわたり追跡調査を行った。1人で行う運動と仲間と2人以上で行う運動の実践状況を調査するとともに、厚生労働省が基準を示す「認知症高齢者の日常生活自立度」を用いて認知機能障害を判定し、これらの関連を統計解析で検証した。

解析にあたっては、年齢、性別、教育歴、主観的経済状況、独居、喫煙状況、飲酒状況、ボディマス指数(BMI)、既往歴(高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓疾患、神経・関節痛)、睡眠時間、抑うつ傾向、主観的認知機能、他の運動方法(例:仲間と行う運動が認知機能障害の抑制に与える影響を検討する際には1人で行う運動の実践状況)を統計的に調整した。

1人で行う運動の方が仲間と行うよりも広く行われていることが判明

まず、高齢者の運動実践状況を確認。1人で行う運動については、非実践者、週1回実践者、週2回以上実践者の割合はそれぞれ52.4%、5.8%、41.8%だった。また、仲間と行う運動の非実践者、週1回実践者、週2回以上実践者の割合はそれぞれ75.2%、6.1%、18.7%であり、1人で行う運動の方が仲間と行う運動よりも広く行われていることがわかった。

認知機能障害の発生抑制効果、1人で行う運動で22%/仲間と行う運動で34%リスク減

次に、1人で行う運動と仲間と行う運動が認知機能障害の抑制に与える影響について検討した。追跡期間中に認知機能障害が確認されたのは337人(7.7%)であり、どちらの運動においても週2回以上の実践が認知機能障害の発生を有意に抑制した。

しかし、効果の大きさという点では、1人で行う運動(22%のリスク減)よりも、仲間と行う運動(34%のリスク減)の方がより強い抑制効果を示した。これらの結果から、高齢者の認知症予防においては、1人で行う運動の意義を認めつつも、仲間と行う運動を推奨していくことが重要であることが示唆された。

運動中の他者とのかかわり方による認知機能への影響の違いを検討することが必要

今回の研究では、1人で行う運動と仲間と行う運動の効果を認知機能障害の抑制という観点からの検証により、どちらも認知機能障害の発生を抑制する一方、仲間と行う運動においてより大きな効果が期待できることが明らかにされた。しかし、運動における仲間の具体的な構成については考慮されておらず、今後は、運動中の他者とのかかわり方による認知機能への影響の違いを検討する必要がある。

「例えば、夫婦のみでの運動と、老若男女が混在する運動とでは、心理状態や会話のバリエーションが異なると考えられる。また、地域住民で集まって運動する際には、まとめ役の人とそれ以外の人とで認知機能への影響が変わる可能性もある」と、研究グループは述べている。

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