医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 皮膚コラーゲン産生の促進に関わるタンパク質を同定、加齢に伴い減少-藤田医科大ほか

皮膚コラーゲン産生の促進に関わるタンパク質を同定、加齢に伴い減少-藤田医科大ほか

読了時間:約 2分44秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年09月02日 AM10:59

皮膚幹細胞が分泌するエクソソームの機能は?

藤田医科大学は8月31日、真皮幹細胞が分泌するエクソソームに含まれるタンパク質ANP32Bが、皮膚のコラーゲン産生に関係していることを発見し、この成分が加齢によって減少することで、皮膚のコラーゲン産生が低下することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部応用細胞再生医学講座の赤松浩彦教授、皮膚科学講座の杉浦一充教授らと、日本メナード化粧品株式会社が行ったもの。研究成果は「Biological and Pharmaceutical Bulletin」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

身体の細胞はさまざまな方法で細胞同士の情報交換を行い、生命活動を維持している。そのメカニズムとして近年注目されているものがエクソソームだ。エクソソームは細胞から分泌される直径50~150nm程度の小胞(カプセル状の構造)で、細胞内に含まれるタンパク質やmiRNAなどをエクソソームに内包して、他の細胞に輸送することができるため、細胞間の情報伝達手段の一つと考えられている。分泌されたエクソソームを取り込んだ細胞では、内包されていたタンパク質やmiRNAによって遺伝子発現など細胞の機能に変化が起こることが知られている。エクソソームは、分泌する細胞によって内包物が変化するため、その作用は多様だ。特に骨髄や臍帯由来の幹細胞が分泌するエクソソームには、組織の修復効果が多く報告されており、再生医療分野への応用が期待されている。骨髄等の幹細胞が分泌するエクソソームの機能は解明されつつあるが、皮膚の幹細胞については、分泌するエクソソームに関する報告は少なく、その機能は不明な点が多い。

真皮幹細胞が分泌するエクソソームは、線維芽細胞のコラーゲン産生を促進

研究グループは、真皮幹細胞が分泌したエクソソームを添加して線維芽細胞を培養し、コラーゲン産生への影響を検討した。その結果、線維芽細胞はエクソソームを取り込み、真皮の主要成分であるⅠ型コラーゲンの産生が高まることがわかった。

コラーゲン産生を促進するタンパク質ANP32Bを同定

真皮幹細胞が分泌するエクソソームが線維芽細胞のコラーゲン産生を促進するメカニズムを明らかにするため、真皮幹細胞由来エクソソームのプロテオーム解析を行った。その結果、真皮幹細胞由来エクソソームに特徴的な74種類のタンパク質を同定した。

続いて、この74種類のタンパク質について検討を進め、コラーゲン合成シグナルの一つに関連があるAcidic Nuclear Phosphoprotein 32 Family Member B()と呼ばれるタンパク質に着目。ANP32Bの発現を低下させた真皮幹細胞を作成し、その細胞が分泌したANP32Bが含まれていないエクソソームを線維芽細胞に取り込ませた。その結果、ANP32Bが含まれないエクソソームを取り込んだ線維芽細胞は、ANP32Bが含まれたエクソソームを取り込んだ線維芽細胞に比べ、コラーゲン産生が低いことがわかった。つまり、真皮幹細胞は、エクソソームによってANP32Bを受け渡すことで、線維芽細胞のコラーゲン産生を促進していることが明らかになった。

ANP32Bの発現は加齢に伴い低下することも判明

これまでの研究から、真皮幹細胞は加齢に伴ってその数が減少することがわかっており、真皮幹細胞由来エクソソームの量も加齢に伴って減少してしまうと考えられた。そこで研究グループは、加齢に伴い真皮幹細胞におけるANP32Bの発現がどのように変化するのか解析した。その結果、20代の皮膚の真皮幹細胞に比べて、60代の皮膚の真皮幹細胞においてANP32Bの発現が低くなっていたことがわかった。

このことから、真皮幹細胞由来エクソソームに含まれるANP32Bの量も加齢によって減少し、真皮幹細胞由来エクソソームの機能が低下してしまうと考えられた。そのため、真皮のコラーゲン産生を維持し若々しい肌を保つためには、真皮幹細胞の数を維持するだけではなく、ANP32Bの発現低下を防ぎ、真皮幹細胞由来エクソソームの機能を維持することも重要と考えられる。

「皮膚のエクソソームに関する研究はまだまだ始まったばかりで不明な点が多くある。今後も、真皮幹細胞が分泌するエクソソームに着目し、エクソソームの機能低下が起きる原因を追究して、老化に対する新たなアプローチとして創生していく」と、研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 原因腎疾患不明の透析患者、1割に遺伝性腎疾患の潜在を発見-東京医歯大ほか
  • 平滑筋肉腫の肺転移、上皮細胞接着因子EPCAMが治療標的候補に-九大
  • 顔の初期発生過程の解明に寄与し得る組織モデル作製に成功-京大
  • 腸内細菌の腸への定着、宿主の食事に合わせた菌の遺伝子変異が重要-慶大先端研ほか
  • ソトラシブ治療抵抗性、肺がんAXL阻害薬併用が有効な可能性-京都府医大ほか