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テゼペルマブ追加療法、P3/P2b試験統合データ解析で重症喘息のAAER抑制-英AZほか

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2022年03月16日 AM11:30

成人・12歳以上の小児重症喘息の追加維持療法で米国承認のTezspire、日本などで申請中

英アストラゼネカ社は2月26日、アムジェン社と提携し開発中のTezspire(TM)(一般名:)について、主要第3相NAVIGATOR試験および第2b相PATHWAY試験の統合データを事後解析した結果、重症喘息患者のバイオマーカーによるサブグループ全体において年間喘息増悪率(AAER)の抑制を示したと発表した。研究成果は、2022年米国アレルギー・・免疫学会(AAAAI)の年次総会で発表されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

Tezspireは、複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮細胞サイトカインであり重症喘息に伴うアレルギー性、好酸球性または他のタイプの気道炎症の発現および持続に不可欠なTSLPの作用を阻害するファースト・イン・クラスのヒト型モノクローナル抗体薬候補。アムジェンと提携し、アストラゼネカが開発中だ。TSLPは、アレルギー誘発物質、ウイルスおよび他の浮遊微小粒子を含む喘息増悪を引き起こす複数の誘発物質に反応して放出される。TSLPの発現は喘息患者の気道中で増加し、喘息の重症度と相関している。TSLP阻害により免疫細胞からの炎症性サイトカインの放出が抑制される可能性があり、その結果、喘息増悪が予防され喘息コントロールが改善されると考えられている。同剤は、炎症カスケードの上流に対して作用することで、バイオマーカーのレベルに関わらず、広範な重症喘息患者を治療できる可能性を有しているという。

Tezspireは、成人および12歳以上の小児の重症喘息患者の追加維持療法として米国で承認されている。また、、鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎、慢性自発性蕁麻疹、および好酸球性食道炎(EoE)を含む他の潜在的適応症に対しても開発中。EU、日本およびその他数か国を含む世界中で、薬事承認申請の審査中だ。

第2b相PATHWAY試験と第3相NAVIGATOR試験の統合データ解析で

PATHFINDER臨床試験プログラムは、第2b相PATHWAY試験と第3相NAVIGATOR試験を含む。同プログラムには、経口ステロイド(OCS)減量試験、メカニズム試験や長期安全性試験が含まれる。

PATHWAY試験は、OCS併用の有無を問わず、吸入ステロイド/長時間作用性β作動薬や追加の喘息長期管理薬を受けていた喘息増悪の既往歴を持つコントロール不良の喘息患者を対象に、Tezspireを追加療法として70mgおよび210mgを4週間ごとに、280mgを2週間ごとに投与し、52週間における3つの用法用量の有効性と安全性を評価する第2b相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。

NAVIGATOR試験は、標準治療(SoC)を受けていた成人(18~80歳)および青年期(12~17歳)のコントロール不良の重症喘息患者を対象とする第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。SoCは1日1回のOCS併用の有無を問わず、中用量もしくは高用量の吸入ステロイド(ICS)に、少なくとももう1つの喘息長期管理薬を加えた治療とされた。同試験では、血中好酸球数が高い被験者(300cells/µL以上)と低い被験者(300cells/µL未満)がほぼ均等に割り付け登録された。同試験は、5週から6週のスクリーニング期間、52週の治療期間および12週の治療後の追跡期間により構成。試験期間中、全被験者の処方されていた喘息長期管理薬の変更はなかった。

主要有効性評価項目は52週間におけるAAER。主な副次的評価項目には呼吸機能、喘息コントロールおよび健康に関連する生活の質に対するTezspireの効果が含まれていた。事前に計画された解析の一環として、52週間におけるAAERは、ベースラインの血中好酸球数、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)のレベル、血清特異的免疫グロブリンE(IgE)のレベル(通年性吸入アレルゲン特異的IgEが陽性または陰性)によって層別化された患者でも評価された。これらは、臨床医が治療選択をするために使用する炎症性バイオマーカーであり、血液(好酸球/IgE)と呼気(FeNO)を分析する検査が含まれる。

NAGIVATOR試験結果、患者集団全体において主要評価項目である52週間におけるAAERの統計学的に有意かつ臨床的に意味のある抑制を示した。プラセボに対する臨床的に意味のあるAAERの抑制は、血中好酸球数、FeNOレベルおよびアレルギーの状態に関わらず、Tezspireによる治療を受けた患者に見られた。

同試験において、有害事象はTezspire投与群とプラセボ投与群でそれぞれ77.1%、80.8%に発現。重篤な有害事象は、それぞれ9.8%、13.7%に発現。Tezspireに関連する最も高い頻度で報告された有害事象は上咽頭炎、上気道感染症、および頭痛だった。

FeNOレベルやアレルギー状態を問わず52週間におけるAAER改善、プラセボ比較で

今回の統合解析において、Tezspireは、SoCへの追加療法として、ベースライン時の血中好酸球数に関わらず52週間にわたりAAERを抑制するとの一貫した有効性を示した。プラセボとの比較において、Tezspire投与群のうち血中好酸球数が300cells/µL以上の被験者では71%、300cells/µL未満の被験者では48%、150cells/µL未満の被験者では48%のAAER抑制が認められた。

また、同じ解析においてTezspireはFeNOレベルやアレルギー状態を問わず、プラセボと比較し、52週間におけるAAERの改善も示した。

NAVIGATOR試験の事前に計画された探索的解析において、Tezspireは季節を問わず年間を通じて一貫した有効性を示した。プラセボとの比較で、TezspireがAAERを63%(冬季)、46%(春季)、62%(夏季)、および54%(秋季)の比率で抑制したことを示した。すべての季節において、増悪のある患者の割合は、Tezspire投与群がプラセボ投与群よりも低率だったという。

同統合解析の結果はThe New England Journal of Medicineにおいてこれまでに掲載されたPATHWAYおよびNAVIGATOR試験結果をさらに補強するものだとしている。

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