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子どもの喘鳴・ぜんそく、妊婦の喫煙/受動喫煙かに関わらずリスク増-富山大

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2021年06月24日 PM12:00

たばこ煙曝露状況、出生児の喘鳴・ぜんそく発症との関連、9万210組親子で検討

富山大学は6月22日、妊婦の喫煙について、本人の喫煙か受動喫煙かに関わらず、子どもの喘鳴およびぜんそくのリスクを増加させることがわかったと発表した。この研究は、同大医学部小児科学講座の和田拓也(現・富山市民病院)、富山大学学術研究部医学系小児科学の足立雄一教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Allergology International」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

ここ数十年の短期間に見られるアレルギー疾患の有病率増加は、遺伝的要因だけでは説明できず、妊婦や乳幼児を取り巻くさまざまな環境要因が影響していると考えられている。その一つに、喘鳴・ぜんそくに及ぼすたばこの影響がある。これまでの研究では、母親の妊娠中の喫煙が胎児の肺胞形成を遅らせ、出生児に肺機能障害をもたらすという報告があった。また、最近では、2歳までの小児について「喘鳴発症には出産前後の母親の喫煙」が、「ぜんそく有病率には出産前の母親の喫煙」が、それぞれリスクを増加させることが示された。しかし母親が、いつ、どのような状況でたばこの煙にさらされると、出生児の喘鳴・ぜんそくのリスクが増加するのかについては明らかになっていない。

そこで今回、研究グループは、9万210組の親子について、たばこ煙曝露の状況を「母親の妊娠中の喫煙状況」「母親の妊娠中の受動喫煙状況」「出生児の受動喫煙状況」の3つの項目に分け、出生児の喘鳴・ぜんそく発症との関連を検討・解析した。

項目の詳細について、たばこ煙曝露の状況は(1)「喫煙したことがない」「妊娠前に禁煙した」「妊娠初期に禁煙した」「1日1~10本喫煙する」「1日11本以上喫煙する」(2)「週1日以下」「週2~3日」「週4~6日」「毎日」(3)「なし」「屋外」「屋内」。出生児の症状は、喘鳴「生まれてから1歳までに胸がゼーゼー、ヒューヒューしたことがある」、「生まれてから1歳までに医師によりぜんそくと診断されたことがある」とした。

妊娠中の喫煙、生後1歳時の出生児の喘鳴・ぜんそく発症リスクを増

解析の結果、まず、母親の妊娠中の喫煙は、喫煙しない場合と比較し、生後1歳時における出生児の喘鳴・ぜんそくの発症リスクを増加させることがわかった。特に、母親にアレルギー疾患がある場合は、出生児の発症リスクをより一層増加させることが判明。また、今回の調査では、妊娠初期に禁煙した場合でも出生児の喘鳴発症のリスクが増加していた。

しかし、他研究の報告では、妊娠の期間や時期と、母親の喫煙および出生児の喘鳴発症には、必ずしも関連が見られないという結果もあり、一致した見解は得られていない。このことから、妊娠中のどの時期での喫煙が胎児に影響し、出生児の喘鳴・ぜんそく発症に関連するのかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だとしている。

受動喫煙の副流煙、胎内で頻繁にさらされると出生児が喘鳴・ぜんそく発症の可能性

次に母親の妊娠中の受動喫煙は、生後1歳までの喘鳴の発症リスクを頻度問わず増加させ、受動喫煙の頻度が高くなるほどリスクもより増加。特に、毎日受動喫煙した場合は、喘鳴だけでなくぜんそく発症リスクも増加した。さらに、もともと非喫煙者である母親のみの分析でも同様の結果が出た。これらのことから、胎内で受動喫煙による副流煙に頻繁にさらされることは、出生児の喘鳴・ぜんそくの発症につながると推測される。

最後に、出生児の受動喫煙については、ぜんそく発症リスクとの関連はみられなかったものの、屋内、屋外ともに、副流煙にさらされていない場合と比べて、生後1歳までの喘鳴の発症リスクが増えた。

産後母子に関わるすべての喫煙者の禁煙の重要性を示す、引き続き検討を

今回の研究は自己記入の質問票によって喫煙状況や喘鳴の有無を調べたため、回答結果が実際の喫煙状況を正確に反映していない可能性がある。また、生後1歳までの喘鳴はぜんそく以外の健康状態と関連している可能性があるため、引き続き調査・検討が必要だという。

しかし、母親の妊娠中の喫煙および母子の受動喫煙が子どもの喘鳴・ぜんそくのリスクを増加させるという今回の研究結果は、妊娠中の母親本人だけでなく、産後の母子に関わるすべての喫煙者の禁煙の重要性を示し、禁煙を推進する根拠の一つを示すことができたと考えられる。さらに検討を続けることで、母親の喫煙と母子の受動喫煙が与える、子どもの呼吸器系の健康への長期的な影響について明らかになっていくことが期待される、と研究グループは述べている。

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