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UV-LED照射によるA型インフルエンザウイルス不活化機構を発見-徳島大ら

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2018年12月17日 PM12:00

ヒトへの感染後は50%近い致死性を示すHPAI

徳島大学は12月13日、紫外線発光ダイオード()照射が高病原性鳥インフルエンザを含めたA型インフルエンザウイルスの不活化に効果的であることを発見したと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学研究部予防環境栄養学分野の高橋章教授、馬渡一諭講師と同大学院社会産業理工学研究部、京都府立医科大学感染病態学教室、日本フネン株式会社の共同研究グループによるもの。研究成果は「Journal of Photochemistry&Photobiology, B:Biology」に掲載されている。


画像はリリースより

)は、オルトミクソウイルス科に分類されるウイルス。近年、A型インフルエンザウイルスの中でも鳥類に対して致死性が高いH5N1亜型やH7N9亜型などの高病原性鳥インフルエンザウイルス(Highly Pathogenic avian influenza:)は、野鳥や家禽への感染がアジアを中心に世界的に感染が広まっており、養鶏産業に大きな被害をもたらしている。また近年ではH5N1、H7N9亜型の鳥インフルエンザウイルスは鳥のみならずヒトへの感染事例も多く報告され、ヒトへの感染能力はまだ低いものの、感染後は50%近い致死性を示すことから、有効な感染対策が必要とされている。研究グループはこれまで、近紫外線(UVA)-LED照射による病原性細菌への殺菌効果と機構を明らかにしてきたが、A型インフルエンザウイルスに対する効果は不明だった。

宿主細胞内でのウイルスRNAの複製と転写の両方を抑制

今回研究グループは、UV-LED照射によるA型インフルエンザウイルス感染予防策に着目。H1N1亜型(A/Puerto Rico/8/1934)に種々のピーク波長のUV-LEDを照射し、不活化効果の評価とその機構を明らかにすることを目指した。さらに、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型)への不活化効果も評価した。

研究ではピーク波長がそれぞれ365nm(UVA-LED)、310nm(UVB-LED)及び280nm(UVC-LED)のLED(すべて日亜化学工業製)を使用し、許容最大の順電流で照射を行った。まず、ウイルス溶液にUV-LEDを照射しMDCK細胞に感染したあと、プラーク法により不活化効果の評価を行うと、UVC-LED(280nm)、UVB-LED(310nm)、UVA-LED(365nm)の順に不活化効果が高かったが、すべてのUV-LEDでH1N1亜型の感染力を1/100~1/1,000以上まで不活化することに成功した。次に、UV-LED照射による不活化機構を調べるため、ヘマグルチニン(HA)力価測定によりウイルスの細胞接着能を評価。すると、MDCK細胞への感染力を十分に減らす照射量(照射エネルギー)であってもHA力価は変化しなかったことから、UV照射による不活化効果は、宿主細胞への接着能力の変化によるものではないと考えられた。さらに、UV-LED照射後の宿主細胞内の3種のウイルスRNA(vRNA、cRNA、mRNA)の動態を、定量的RT-PCR解析によって調べると、いずれの波長のUV-LED照射でも宿主細胞内のvRNA、cRNA、mRNAの増殖を抑制したことから、UV-LED照射は宿主細胞内でのウイルスRNAの複製と転写の両方を抑制したと考えられたという。

今回の研究では、一般的に広く利用されている殺菌紫外線ランプ(低圧水銀ランプ)とは全く異なる発光波長帯のUV-LEDを照射したが、低圧水銀ランプよりも長い波長領域でも十分に照射を行えば、A型インフルエンザウイルスの不活化が可能であることがわかった。また、UV-LEDは感染細胞内でウイルスRNAの転写と複製を抑制することで、ウイルスを不活化している可能性が示唆された。さらに、H1N1亜型だけでなく、高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5N1亜型も不活化できることも判明した。

研究グループは「今後はインフルエンザウイルス感染予防の実用化に向け、スケールアップや用途に応じた改良を進めていきたい。また、UV-LED照射の殺菌・不活化以外への応用も可能ではないかと考えられた。今後はさらに他種のウイルスへの効果や不活化のメカニズムを解明して、同技術の用途拡大を目指していきたい」と、述べている。

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