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ドマグロズマブ、デュシェンヌ型筋ジストロフィー対象臨床試験を中止-米ファイザー

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2018年09月10日 AM11:30

6~15歳までのDMDの男児121人対象P2試験

米ファイザー社は8月30日、)治療薬ドマグロズマブ(遺伝子組換え)()を評価する第2相臨床試験(B5161002)と非盲検延長試験(B5161004)の2件の進行中の臨床試験を中止することを発表した。

DMDは、希少かつ重篤な小児の消耗性遺伝子疾患で、進行性の筋変性や筋力低下および重大な余命短縮が特徴。世界中で最も多く見られる筋ジストロフィーの病型(種類)で、主に男児に発症し、毎年、出生男児3,500~5,000人につき1人の割合で発症する。通常、DMDは1~4歳の小児期早期に発症し、一般に、歩き始めるのが遅い、立ち上がるのが困難、走ったり階段を上ったりするのが困難、などの筋力低下の症状が見られる。筋変性が進行すると、平均で10代前半に歩行能力が失われる。呼吸筋の筋力低下により、最終的には人工換気補助が必要になり、また、心筋低下のため、心筋症につながる。

同社が行っていた多施設共同第2相二重盲検プラセボ対照試験(B5161002)は、6~15歳までの原因遺伝子変異は問わないDMDの男児121人を対象に、ドマグロズマブを1か月に1回静脈内投与し、有効性と安全性を評価。2年間のプラセボ対照試験(1年後に主要解析)として計画し、すべての被験者が基礎治療としてコルチコステロイドを使用した。非盲検延長試験(B5161004)は、ドマグロズマブの長期的な安全性と有効性を評価することを目的として計画した。

プラセボと比較、主要評価項目の有意な治療効果みられず

B5161002試験では、有効性の主要評価項目とした4段の階段登りに要する時間(秒)について、1年間のドマグロズマブ投与後におけるベースラインからの平均変化量をプラセボと比較したが、この主要評価項目が達成されなかった。さらに、副次評価項目を含むエビデンスを総合的に評価しても、有意な治療効果がみられなかったという。

今回の中止の決定は、1年間投与を受けた患者全員に加え1年間を超えて試験に参加している患者も対象に評価するなど、主要解析時に得られたデータを詳細に検討した後に下された。試験中止は、安全性の懸念によるものではないという。米ファイザー社は、臨床試験から得られる知見の理解を深めるため、今後もデータを評価し、アカデミアやDMDにかかわるコミュニティに結果を共有していくという。

なお、同社は現在、DMDに対して遺伝子治療薬()を用いた臨床試験を1件進行中。同剤は、ヒト筋特異的プロモーターの制御下で作用するヒトジストロフィン遺伝子断片(ミニジストロフィン)を有する遺伝子組換え9型アデノ随伴ウイルスである。

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