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キイトルーダ、PD-L1陽性局所進行性・転移性NSCLC患者の初回治療でOSを有意に延長-米Merck

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2018年06月12日 AM11:30

標準治療のプラチナ製剤併用化学療法と比較

米Merck社は6月3日、抗PD-1抗体「(R)」(キイトルーダ)(一般名:)について、EGFR遺伝子変異およびALK融合遺伝子陰性の局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する初回治療としての単独療法を検討する、ピボタル第3相試験「KEYNOTE-042」の結果を発表した。結果は、2018年米国臨床腫瘍学会()年次総会の本会議および日曜プレスプログラムで発表された。

キイトルーダは、日本では、根治切除不能な悪性黒色腫、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんの効能・効果で承認を取得している。

KEYNOTE-042は、PD-L1陽性(TPS≧1%)の局所進行または転移性NSCLC患者を対象としてキイトルーダ単独療法と標準治療であるプラチナ製剤併用化学療法(+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)を比較する第3相国際共同無作為化非盲検試験(ClinicalTrials.gov:NCT02220894)。EGFR遺伝子変異およびALK融合遺伝子陰性で、進行病変に対する全身治療歴のない患者を対象とした。主要評価項目は全生存期間(OS)で、TPS≧50%、TPS≧20%、TPS≧1%の患者において逐次評価した。

TPS≧20%の患者でもOSを有意に延長

その結果、PD-L1陽性(TPS≧1%)の患者において、キイトルーダ単独療法でプラチナ製剤併用化学療法と比較してOSを有意に延長。事前に規定された解析計画に従い、TPS≧50%の患者(HR=0.69[95%CI:0.56~0.85]、p=0.0003)およびTPS≧20%の患者(HR=0.77[95%CI:0.64~0.92]、p=0.0020)においてOSを逐次評価したところ、有意に延長し、続いてTPS≧1%の試験集団全体(HR=0.81[95%CI:0.71~0.93]、p=0.0018)でも有意に延長したという。

キイトルーダ群と化学療法群のOSの中央値は、TPS≧50%の患者では20.2か月vs 12.2か月、TPS≧20%の患者では17.7か月vs 13.0か月、TPS≧1%の試験集団全体では16.7か月vs 12.1か月だった。また、TPS=1~49%の患者を対象とした探索的サブグループ解析では、OSのHRは0.92(95% CI:0.77~1.11)だった。今回の中間解析では、キイトルーダによりTPS≧50%の患者において疾患進行または死亡(PFS)が19%減少したが、統計的に有意ではなかったという(HR=0.81[95% CI:0.67~0.99]、p=0.0170)。先行する仮説において優越性の要件を満たさなかったため(TPS≧50%の患者におけるPFS)、事前に規定した逐次評価計画に従い、TPS≧20%およびTPS≧1%の患者ではPFSの正式な評価は実施しなかった。 なお、社外データモニタリング委員会(DMC)の勧告に従い、PFSについては引き続き最終解析で評価する予定としている。

キイトルーダの安全性は、転移性NSCLC患者を対象とするこれまでの試験で報告されたものと一貫していた。治療との関連性が否定できないグレード3~5の有害事象はキイトルーダ群の17.8%、化学療法群の41.0%で認められた。グレードおよび原因にかかわらずキイトルーダ群で高頻度に認められた免疫関連の有害事象は、甲状腺機能低下症(12.1%)、間質性肺疾患(8.3%)、甲状腺機能亢進症(6.1%)、重度の皮膚反応(2.4%)、甲状腺炎(1.6%)、肝炎(1.4%)および大腸炎(1.1%)だった。治療との関連性が否定できない死亡はキイトルーダの13例(間質性肺疾患による死亡1例を含む)および化学療法群の14例で認められたとしている。

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