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ICU入室患者が亜症候性せん妄になりやすい要因を特定-京都府医大

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2018年04月16日 PM12:30

せん妄を発症する危険性が高い亜症候性せん妄

京都府立医科大学は4月11日、集中治療室()入室患者の亜症候性せん妄発症およびせん妄移行に影響する要因を特定したと発表した。この研究は、同大大学院保健看護学研究科の山田親代助教、岩脇陽子教授、山中龍也教授らと、市立大津市民病院救急診療科の福井道彦医師らの研究グループによるもの。研究成果は「Intensive & Critical Care Nursing」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

せん妄は、軽度から中等度の意識混濁に認知障害を伴う精神・行動の障害。身体疾患の予後不良に関連し、患者・家族の苦痛を増強させ、意思決定にも悪影響を及ぼすことから、適切な治療を妨げていることが知られている。発症後の症状の押さえ方・治療が困難な疾患であるため、患者の命を守る上でも予防や早期対処が必要だ。

亜症候性せん妄とは、せん妄と非せん妄の中間に位置する状態で、せん妄を発症する危険性が高いと考えられている。研究グループは、亜症候性せん妄の発症やせん妄への移行がどのような患者に起こりやすいかを明らかにすることで、臨床現場での予防や早期対処に繋がる看護ケアに寄与するものと考え、検証を行った。

高齢、認知症の既往歴、赤血球数が少ないなどの傾向

研究グループは、市立大津市民病院において、ICUに12時間以上入室した患者380名を対象に、年齢や性別、ICU入室日数、各種既往歴、重症度、難聴や視覚障害の有無、検査データ、人工呼吸器装着の有無、点滴などのルートの数などのデータを収集。次に、ICDSC(せん妄評価ツール)を用いて、せん妄評価の点数を8時間ごとに測定し、これらのデータを基に重回帰分析を行った。この評価は患者の協力を必要とせず、観察と記録からせん妄の評価を行えるため、看護介入または治療を考慮した検証を実施できたという。

検証の結果、せん妄は15.8%、亜症候性せん妄は33.9%の患者に発症。非せん妄から亜症候性せん妄になりやすい患者の特性は、高齢、認知症の既往歴がある、輸血をした、APACHE II(ICUに入室した患者の病態の重症度を客観的に評価するために作成された予後予測スコア)が高い、赤血球数が少ない、CRP(C反応性タンパク)が高いという傾向が見られた。また、亜症候性せん妄にとどまらず、せん妄まで発症する患者の特性は高齢、緊急入院、ステロイドの使用、身体抑制をされた、PaO2(動脈血酸素分圧)が低いという傾向が見られたという。

今回の研究によって影響要因の特定ができたことにより、ICU以外でも、同様の傾向を示す可能性が示唆された。研究グループは、引き続きより多くのデータを用いて要因解析を行うことで、具体的な看護的観点として臨床現場に導入され、より適切な看護ケアのメソッドの確立に繋がっていくことが期待される、と述べている。

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