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心不全に関わる新たな臓器ネットワークを発見-千葉大ら

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2017年04月13日 PM02:15

さまざまなメカニズムで互いに関連し合う「心腎連関」

千葉大学は4月11日、心不全に係わる新しいメカニズムを解明する研究結果を発表した。この研究は、同大大学院医学研究院・真鍋一郎教授、・永井良三学長、東京大学大学院医学系研究科・藤生克仁特任助教/(JST)さきがけ研究者、九州大学大学院理学研究院・岩見真吾准教授の研究グループによるもの。研究成果は、英学術誌「Nature Medicine」オンライン版に4月10日付で掲載されている。


画像はリリースより

日本国内において、心不全は増加し続けており、新たな治療法の開発が望まれている。腎臓機能の低下()は心臓病の増加や悪化につながり、逆に心臓病は腎臓病の悪化を引き起こすことが知られている。そのため、心臓病と腎臓病には、さまざまなメカニズムで互いに関連し合う「心腎連関」があると考えられている。

今回、研究グループは「心臓-脳-腎臓」をつなぐ新たな臓器ネットワークを見いだした。この臓器ネットワークは、心臓をストレスから守る重要なメカニズムであり、このネットワークをうまく働かないようにすると、マウスは心不全を発症するようになるという。

心不全や慢性腎臓病の新しい治療法の開発に期待

また、同研究グループは今回の研究で、心臓を守る臓器ネットワークが、神経と腎臓由来の生理活性分子「コロニー刺激因子」によってつながっていることも見いだした。

心臓では、免疫細胞の一種であるマクロファージが重要であり、心筋細胞の働きを助けるタンパク質「」を提供することで心臓の機能を維持していることを発見。アンフィレグリンを働かなくしたマウスは心不全になりやすく、また心不全を発症したマウスにこのアンフィレグリンを投与することで心不全を改善させることに成功したという。

今回明らかとなった「心臓-脳-腎臓」のネットワークやアンフィレグリンの働きについて、研究グループは「新しい心不全や慢性腎臓病の治療法の開発へ結びつくことが期待される」としている。

 

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