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精神的負担軽減する静電容量型フィルム状近接センサー開発-産総研

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2016年01月27日 PM12:00

壁・床・ベッドに貼るだけで簡単に利用

産業技術総合研究所は1月25日、非接触式の静電容量型フィルム状近接センサーを作製し、それを人の目に触れないところに設置して、使用者に精神的・肉体的な負担をかけることなく、人の動きや呼吸を検出できる技術を開発したと発表した。この研究は、産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センター先進機能表面プロセスチームの野村健一研究員らが、島根県産業技術センター有機フレキシブルエレクトロニクス技術開発プロジェクトチームの岩田史郎主任研究員らと共同で行ったもの。


画像はリリースより

産総研では、新しい形態のデバイスとして、薄い・軽い・形状自由度の高いフレキシブルデバイスに関する研究開発を実施。また、これらのデバイスを低コストで大量にあるいは大面積に製造しうる手法として、新しい印刷技術の開発を推進してきた。

非接触式の見守り用センサー類については、今回、さらに望ましい条件として、「利用者の精神的負担をより一層軽減する」こと、「センサーをどこかに敷いたり貼ったりするだけで簡単に使用できる」ことを目指し、壁・床・ベッドに貼るだけで簡単に利用でき、しかも裏側に設置することで目に触れることなく自然な状態で人の動きや呼吸を検出できる静電容量型フィルム状近接センサーを開発するに至ったとしている。

自宅での介護・見守りへの運用に期待

今回開発したフィルム状近接センサーは、フィルムの表面と裏面に異なるサイズの電極を持つ静電容量型。産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センターが開発したスクリーンオフセット印刷技術を利用し、センサー両面の電極構造を簡便に作製する両面印刷作製技術によって作られた。

産総研は今後、これらのセンサーから集めた測定データをもとに、事故や病気の予兆を捉える技術を確立していきたい考えで、その足掛かりとして、島根大学医学部附属病院の礒部威教授と関連技術について実証試験を行う方向で検討を開始したとしている。

現状、センサーからのデータは、大きなサイズの計測装置(約33×12×18cm3)につないで取得しているが、試験時の安全性や実用面を考慮してシステムの小型化と無線化を検討。また、構造最適化などでセンサーをさらに高感度化して心拍、脈拍の検出を目指すとともに、現状は単素子のセンサーを2次元的にアレイ化する技術を開発し、人の動きを3次元的に検出できる先進デバイスも開発していきたいとしている。将来的には、これらの技術を完成させて、今後増加すると思われる自宅での介護・見守りに向けて家庭内で運用できるシステムの構築に貢献していく考えを示している。

なお、この技術の詳細は、1月22日発行の英国科学雑誌「Scientific Reports」にオンライン掲載された。1月27日から3日間、東京ビッグサイトで開催されるプリンタブルエレクトロニクス2016で関連技術が展示される予定。

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