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うつ症状の鑑別診断における光トポグラフィ―の有用性を大規模に検証

読了時間:約 1分9秒
2013年06月24日 PM08:13

求められるバイオマーカーの確立

群馬大学、東京大学などの共同研究グループはうつ症状の鑑別診断での光トポグラフィ―検査の有用性を大規模に検証した。

(Wikipediaを利用)

DALYs(疾病により失われた生命や生活の質を包括的に測定する指標)によると、精神・神経疾患は心血管疾患やがんと同等の疾病負担があり、特に思春期から若年成人期に負担の割合が高い。それゆえ早期の正確な診断と治療が望まれるが、客観的なバイオマーカーが確立されず、問診から得られる情報で診断、治療を行っている現状がある。

バイオマーカーの開発にはさまざまな試みがあり、中でも神経画像測定の光トポグラフィ―検査は簡便で非侵襲的、病状、身体的条件の制約が少なく、うつ症状の鑑別診断の補助として有用性が評価される。

臨床検査の実用化へ一歩

神経画像研究はグループ間の比較検討が一般的だが、研究グループは個別に用いてどの程度まで正確に鑑別できるか、臨床での応用可能性を多施設で大規模に検証した。

精神疾患673名、健常者1007名の脳機能を光トポグラフィ―で測定し、「うつ症状」を呈する大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症を一人一人検討した。臨床診断と比較した結果、大うつ病性障害の74.6%、双極性障害または統合失調症の85.5%を正確に鑑別した。両大学、国立精神神経医療研究センターなど7施設、同じ条件下で同等の結果だった。光トポグラフィ―検査でうつ症状を伴う精神疾患の鑑別診断が高い判別率で得られるとわかった。

研究グループは自律神経系などの身体状況、脳解剖学的な個人差を考慮するなど、光トポグラフィ―検査の精度を高めて実用化を進めていく。バイオマーカーの確立で診断や治療を評価する検査の開発につながり、個別治療の質が向上すると期待される。(馬野鈴草)

▼外部リンク

国立精神・神経医療研究センタープレスリリース
http://www.ncnp.go.jp/

 

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