医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 低亜鉛血症で金属アレルギーが増悪化する可能性-東北大

低亜鉛血症で金属アレルギーが増悪化する可能性-東北大

読了時間:約 1分13秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年02月26日 PM12:30

医療機器からのニッケルイオンによる炎症反応も問題に

東北大学は2月22日、ニッケルイオンにより誘発される炎症細胞の活性化が、生理的濃度の亜鉛イオンにより抑制されることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究科の平澤典保教授、加齢医学研究所の小笠原康悦教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。

近年、金属イオン、特にニッケルに対するアレルギー反応をしめす金属アレルギーの患者が増加している。また、ステントなどのニッケルを含有する医療機器を体内に設置する機会が増加し、医療機器から溶出するニッケルイオンによる炎症反応、アレルギー反応の誘発も問題となっているが、その抑制方法は確立されていなかった。

細胞内ニッケル濃度の増加とともにIL-8の産生が増加

今回の研究では、ヒト単球系細胞株THP-1において、細胞内に取り込まれたニッケルイオン量を誘導結合プラズマ質量分析計により精密に測定し、-8()の産生を指標として、炎症性細胞の活性化を評価。その結果、細胞内ニッケル濃度の増加とともに、IL-8の産生が増加することが確認されたという。

さらに、各種金属イオンの存在下でニッケルイオンを刺激したところ、低濃度の亜鉛イオンがニッケルイオンの取り込みとIL-8の産生をともに抑制することを見出したという。また、マウス背部皮下にニッケル金属を埋入することにより、溶出したニッケルによる炎症反応を評価したところ、コントロールマウスに比べて、低亜鉛状態のマウスにおいて強い反応が誘発されることが明らかとなった。

これらの結果は、生理的濃度の亜鉛イオンがニッケルイオンによる炎症反応に抑制的に作用していることを示している。研究グループは、この研究成果について、「近年、日本人に増大している低亜鉛血症患者の、ニッケルアレルギーが増悪化しやすいことを示唆し、注意を喚起するもの」と述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • OTULIN関連自己炎症症候群の常染色体顕性遺伝形式発症を確認、世界初-横浜市大ほか
  • 膵がん、線維化形成に関与するタンパク質ROCK2を同定-岡山大ほか
  • EYS関連網膜色素変性に視細胞変性への光暴露が関与、ヒトiPS細胞で解明-理研ほか
  • NGLY1欠損症、オキシトシン治療でモデルマウスのけいれん様症状抑制-理研ほか
  • 汗孔角化症、FDFT1遺伝子のエピゲノム異常が発症に関わることを発見-神戸大ほか