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フィルゴチニブ、活動性クローン病に対するP3試験のトップライン結果発表-ギリアド

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2023年02月21日 AM11:08

生物学的製剤治療歴有/無CD患者1,374人対象、フィルゴチニブの安全性・有効性を検討

ギリアド・サイエンシズ株式会社は2月17日、(以下、ガラパゴス)が2月8日(現地時間)、中等症~重症のクローン病(CD)患者を対象に導入療法期および維持療法期中におけるフィルゴチニブ(100mgまたは200mg)の1日1回投与の安全性と有効性を評価する、国際共同第3相試験「DIVERSITY試験」のトップライン結果を発表したと報告した。

DIVERSITY試験は、世界384か所の施設で、中等症~重症の活動性CDを有する生物学的製剤による治療歴のない患者、および同製剤による治療歴のある患者1,374人を対象とした、複合(導入療法期および維持療法期)、二重盲検、プラセボ対照、第3相試験。JAK1阻害剤であるフィルゴチニブ(100mgまたは200mg)の1日1回経口投与の安全性と有効性をプラセボ群と比較し、評価することを主要目的としている。

10週時および58週時の主要評価項目は、患者報告アウトカム(PR0-2)に基づく臨床的寛解、および、クローン病簡易内視鏡スコア(SES-CD)に基づく内視鏡的改善とした。

クローン病活動性指数(CDAI)により測定する臨床的寛解は、同試験の導入療法期および維持療法期における主な副次評価項目とした。その他の副次評価項目として、10週時の臨床的寛解と内視鏡的改善(患者レベルで統合した一つの評価項目)、10週時と58週時の臨床的寛解と内視鏡的改善(患者レベルで統合した一つの評価項目)、10週時と58週時の臨床的寛解維持と内視鏡的改善、および58週時の6か月ステロイドフリー寛解を設定した。

2つの導入療法期コホートで、主要評価項目の「」「」が未達成

導入療法期コホートAは、生物学的製剤による治療歴のない患者54%、生物学的製剤による治療歴のある患者46%で構成され、導入療法期コホートBは、生物学的製剤による治療歴のある患者のみの構成だった。全体で、コホートAの32%およびコホートBの52%が、3種類以上の生物学的製剤による治療を失敗していた。

2つの導入療法期に、100mg、200mgのフィルゴチニブを1日1回投与する投与群では、いずれも主要評価項目である臨床的寛解および内視鏡的改善は達成されなかった。

維持療法期では200mg1日1回投与で主要評価項目を両方達成、安全性も確認

維持療法期では、フィルゴチニブを1日1回200mg投与された患者において、主要評価項目である58週時における臨床的寛解(43.8% vs. 26.4%;p=0.0382)、および内視鏡的改善(30.4% vs. 9.4%;p=0.0038)を達成した割合が、プラセボ群と比較し、統計学的に有意に高い結果となった。

同試験の安全性所見は基礎疾患と一致しており、フィルゴチニブの各適応症の試験における安全性プロファイルと一貫性が認められた。

今回のトップラインデータに基づき、欧州での製造販売承認申請の見送りを決定

ベルギーのルーヴェン大学バイオメディカルサイエンスグループのリサーチディレクターで同大病院消化器科スタッフのセヴリーヌ・ヴェルメール教授は、「DIVERSITY試験に参加された患者の多くが高い疾患活動性を示し、発症から時間が経ち、すでに複数の治療を経験していたとはいえ、今回の導入療法の結果を残念に思っている。しかし、同時に確認された安全性プロファイルと維持療法期にみられた臨床的有効性の兆候については、心強く思っている」と、述べている。

ガラパゴスは今回のトップラインデータに基づき、欧州での製造販売承認申請の見送りを決定した。引き続き、1日1回経口投与JAK1阻害剤のフィルゴチニブ、その既承認の適応症である関節リウマチおよび潰瘍性大腸炎に取り組むとともに、体軸性脊椎関節炎患者を対象とした第3相試験を今年後半に開始予定だとしている。

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