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【速報】ブタの日本脳炎抗体保有状況2022、ワクチン未接種者は蚊に要注意-感染研

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2022年08月03日 AM10:17

ブタの抗体保有状況、ウイルス陽性蚊の存在地域を間接的に示唆

国立感染症研究所は7月28日、都道府県別の「ブタの日本脳炎抗体保有状況-2022年度速報」と題した速報を同研究所のウェブサイトに掲載した。調査したブタの80%以上に抗体保有が認められた地域は4県、10~40%に抗体保有が認められた地域は2県あったとし、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus:)の感染に対し注意喚起している。


画像は感染研サイトより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

日本脳炎は、日本を含め東南アジアを中心に広く常在した疾患で、JEVに感染した者のうち100~1,000人に1人程度が発症すると推定される重篤な急性脳炎である。ヒトへの感染は、イエカ属の蚊(日本では主にコガタアカイエカ)がJEVに感染したブタ等を刺咬・吸血し、その後ヒトを吸血することにより感染する。

1960年代までは毎年夏から秋にかけて多数の日本脳炎患者が発生しており、ブタの感染状況からJEVが蔓延している地域に多くの患者発生がみられた。1960年代の日本脳炎の患者が多数発生していた環境では、日本脳炎患者が検出される時期に先行してブタのJEVに対するHI抗体の上昇が確認されていた。

現在は、日本脳炎ワクチン接種の普及や生活環境の変化等により、日本脳炎患者報告数が毎年10例前後に減少しており、ブタの感染状況と患者発生数は必ずしも一致していない。しかし、ブタの抗体保有状況はウイルス陽性蚊の存在している地域を間接的に示唆すると推測され、このような地域ではヒト感染のリスクが高くなっていると考えられる。2015年には10か月齢の小児にも感染が確認されている。

調査したブタの80%以上に抗体保有が認められた地域は香川県、高知県、佐賀県、長崎県

感染症流行予測調査事業では、全国各地のブタ血清中のJEVに対する抗体保有状況を赤血球凝集抑制法(Hemagglutination inhibition test:HI法)により測定し、JEVの蔓延状況およびウイルスの活動状況を調査している。前年の秋以降に生まれたブタがJEVに対する抗体を保有し、さらに2-メルカプトエタノール(2-ME)感受性抗体()を保有している場合、そのブタは最近JEVに感染したと考えられる。

2022年度(調査期間:2022年5月~7月)におけるブタの抗体保有状況は下記の通り。JEVに最近感染したブタが認められた地域は、宮城県、新潟県、神奈川県、三重県、兵庫県、広島県、沖縄県の7県。調査したブタの10%~40%に抗体保有が認められた地域は千葉県、愛媛県、福岡県。調査したブタの80%以上に抗体保有が認められた地域は香川県、高知県、佐賀県、長崎県であった。香川県では2-ME感受性抗体陽性率が75%であった。

ワクチン接種機会を逃した者は条件を満たせば不足分の接種が可能、未接種者は蚊に要注意

日本脳炎の定期予防接種は、第1期(接種回数は初回2回、追加1回)が生後6か月から90か月に至るまでの間にある者、第2期(1回)は9歳以上13歳未満が接種対象であるが、平成7年4月2日(1995年4月2日)から平成19年4月1日(2007年4月1日)までに生まれた者で積極的勧奨の差し控えなどにより接種機会を逃した者は、20歳になるまでの間、定期接種として合計4回の日本脳炎ワクチンの接種が可能となっている。

また、平成19年4月2日(2007年4月2日)から平成21年10月1日(2009年10月1日)までに生まれた者に対しても、生後6か月から90か月未満のみならず9歳以上13歳未満の間にも、第1期(3回)の不足分を定期接種として接種可能である。ただし、生後90か月(7歳半)以上9歳未満は定期接種として接種することができないので、注意が必要である。

令和3年度は、日本脳炎ワクチンの供給量が減少していたため、1期の優先接種が行われてきたが、令和3年12月より供給が再開され、令和4年度からは全接種対象者の接種が可能となっている。詳細は市区町村からの案内あるいは厚生労働省のホームページを参照されたい。

同研究所は、「それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し、JEVが活動していると推測される地域においては、日本脳炎の予防接種を受けていない者、特に乳幼児や高齢者は蚊に刺されないようにするなどの注意が必要である」と、呼びかけている。

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