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脳内ドーパミン報酬系の活性化でアレルギー反応抑制、マウス実験で-山梨大

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2020年06月23日 AM11:15

ポジティブな精神状態がアレルギー症状に与える生物学的メカニズムは?

山梨大学は6月22日、前向きな感情を脳内で司るドーパミン報酬系の活性化はアレルギー反応を抑えることを、マウスを用いた実験で示したと発表した。この研究は、同大医学部免疫学講座の中尾篤人教授、中嶋正太郎助教(現:福島県立医科大学講師)、同医学部神経生理学講座の喜多村和郎教授らによるもの。研究成果は、「Allergy」に掲載されている。


画像はリリースより

花粉症や気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、精神的なストレスにより病気が悪化することが知られている。一方で、アレルギー疾患に対する新規薬剤の臨床試験では、患者の前向きな感情が薬効と無関係に効果を高める「プラセボ効果」が強く出てしまい、新薬の評価を判定することが困難なことが多々ある。このように精神的な変化がアレルギーの症状に影響を与えることは経験的かつ疫学的に知られているものの、その背景にある生物学的なメカニズムは、まだほとんど明らかにされていない。

ドーパミン報酬系の活性化で、誘導したじんましん反応の減少を確認

今回、研究グループは、特に精神的状態の中でも「プラセボ効果」と関係の深い、「前向きな感情」(やる気)を司る脳内の特定部位がアレルギーに与える影響について検討。前向きな感情は、脳内では、ドーパミン報酬系という神経ネットワークが司っている。そこで、マウスを用いてドーパミン報酬系を3つの異なる方法で活性化し、そのアレルギー反応への影響について解析を行った。

まず、マウスの脳内報酬系を人為的に直接活性化した。DREADDと呼ばれる脳を操作する最新の技術を用いて脳内の中脳腹側被蓋野(VTA)(ドーパミン報酬系の中心となる部位)を人工的に活性化させた後、アレルギー反応のモデルとして皮膚にじんましん反応を惹起した。結果、VTAを活性化させたマウスでは対照においたマウスと比べてじんましん様反応の大きさが有意に減少していた。

次に、人口甘味料を自発的に飲ませることでマウスの脳内報酬系を自然に活性化した。マウス飼育時に飲水ボトルに人口甘味料であるサッカリンを混ぜておくと、「甘み」によってマウスは自然な形で(自発的な行動として)VTAを活性化させる。その後、皮膚にじんましん反応を惹起した。結果、サッカリンの自由飲水によってVTAを活性化させたマウスでは、対照においた水だけを飲んでいるマウスと比べて、じんましん反応の大きさが有意に減少していた。この方法は、前述の人為的な方法と比べ、より自然な形で脳内報酬系を活性化させた実験といえる。

最後に、薬によってマウスの脳内報酬系を活性化した。マウスにドーパミンの前駆体であるL-ドーパ(L-dopa)を注射すると脳内でL−ドーパはドーパミンに変換され、ドーパミン量が増加する。その後、皮膚にじんましん反応を惹起した。結果、L−ドーパを投与したマウスでは、対照においたマウスと比べて、じんましん反応の大きさが有意に減少していた。

これらの実験から、脳内ドーパミン報酬系の活性化がアレルギー反応を抑える効果があることが示された。

診療の際に患者が前向きな気持ちを保つよう配慮することも大事

今回の研究によって、前向きな感情を脳内で司るドーパミン報酬系の活性化はアレルギー反応を抑えることがわかった。この結果は、ポジティブな精神状態を生み出す特定の脳内ネットワークとアレルギーを生じる免疫のしくみが密接に関係していること直接的に証明した世界で初めての知見だ。こころとアレルギーの関係を明らかにしていくことは21世紀のアレルギー/医学研究の大きなテーマの1つだが、この研究はその先駆けといえる。

研究グループは、今回の研究の臨床的意義について、「花粉症や気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をもつ患者の治療は、現在、抗アレルギー剤や抗炎症薬などの投薬が主体だが、よりきめ細かく適切に診療するには、患者に前向きな気持ちを保ち続けてもらうようにコミュニケーションをとることも大事であることが示唆された」と、述べている。

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