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尿酸値を左右する新たな遺伝的要因としてURAT1の変異を複数発見-関西医科大ほか

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2020年04月01日 AM11:45

痛風などの原因となる尿酸値異常、未知の遺伝的要因を探索

関西医科大学は3月30日、尿酸値を左右する新たな遺伝的要因を発見したと発表した。これは、同大附属生命医学研究所ゲノム解析部門の三澤計治講師と、東北大学、獨協医科大学、、京都大学の共同研究によるもの。研究成果は、米国遺伝学会誌「Genetics」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

血中の尿酸値の異常は、痛風などの病気の原因となることがあり、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると痛風の発症リスクが高まるといわれている。また、過去の双子研究からは、血清尿酸値の遺伝率は30〜70%と推定されていた。一方、1万6,760人が参加したゲノムワイド関連解析から、多数の尿酸値関連変異がこれまでに見つかっている。しかし、それらの効果を全て足し合わせても尿酸値の遺伝的要因の7.9%にしかならないという報告があがっている。

一般的に「遺伝率」のうち、このような今までに見つかった変異では説明できていない部分は「失われた遺伝率」と呼ばれている。これは、尿酸値を左右する遺伝的要因は未同定な部分が多いことを示唆している。そこで研究チームは、ゲノムコホート研究サンプルを用いた全ゲノム解析を利用して、まれな変異の尿酸値への影響を調査した。

尿酸値に影響する「」の遺伝子変異を複数発見、URAT1変異陽性者の尿酸値は有意に低値

研究では、東北大学および岩手医科大学で行われている「」の地域住民コホートから、健康診断と血液検査、そしてアンケートとゲノム配列を利用した。さらに、宮城県在住のコホート参加者2,049人について、次の条件に当てはまる人を除外した。1)データ提供の同意を撤回 2)データに欠損がある 3)糖尿病診断を受けた 4)卵巣手術を受けた 5)尿酸値を下げる薬を飲んでいる。最終的に、1,278人(男性631人、女性647人)の情報を解析した。

対象者の尿酸値の平均値は、男性6.07±1.31mg/dL、女性4.57±0.96mg/dL。東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホートを対象とした全ゲノム配列決定を使用して解析した結果、腎臓における尿酸の再吸収を担う輸送体タンパク質である「URAT1」をコードするSLC22A12遺伝子上に、複数のまれな変異が多数特定された。これらの変異のほとんどは、日本人でのみ見つかった。さらに、この中からURAT1のアミノ酸配列を変化させる変異について、アフリカツメガエル卵母細胞を用いた機能解析を、また、スプライシングへの影響を及ぼす可能性がある変異について培養細胞を用いて、それぞれ検討。その結果、今回特定したURAT1変異の多くが、輸送体機能の低下をもたらすとわかった。

また、URAT1の変異による機能低下は尿酸値を下げると予想された。そのことを確かめるため、URAT1による尿酸の再吸収に影響する変異を有する参加者をグループ化し、血清尿酸値を分析。その結果、尿酸に影響を与える複数の因子(肥満、腎機能、性別等)を考慮しても、URAT1変異を持つ人たちの尿酸値は有意に低値であることが示された。

これまでは、痛風のような一般に広くみられる疾患は、「ありふれた疾患、ありふれた変異」という考えで、広くみられる変異が原因だと考えられてきた。しかし今回の研究から、ありふれた変異に加えて「ありふれた疾患、まれな変異」も検討することで、新たな変異が見つかることを示した。「今回の研究では日本人でしか見つからないまれな変異を対象としたが、先行研究からは、海外でも別のまれな変異が見つかっている。世界中のさまざまな地域でそれぞれゲノム配列決定を行うことで、新たな変異が発見されることが期待される。また、尿酸値を下げる遺伝子変異が特定できたことから、将来的には痛風にかかりにくい人・かかりやすい人を事前に判断できるようになるかもしれない」と、研究グループは述べている。

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