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心の問題をケアする「認知行動療法師」の資格認定制度を開始-JABT

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2019年12月02日 PM04:00

ストレス関連疾患への精神心理的アプローチとして注目される認知行動療法

一般社団法人日本認知・行動療法学会は11月27日、国民の心の健康増進ならびに精神保健福祉施策の充実に資する社会貢献事業として、「認知行動療法師」の資格認定制度を創設すると発表した。なお、同資格制度は、同学会の会員にとどまらず、対人援助に携わる各種専門職に開かれた資格制度にするという。

認知行動療法は、うつ病や不安症、ストレス関連疾患をはじめとする多くの心の健康問題への精神心理的アプローチとして、その有効性が確認され、医療保健、教育、福祉、産業労働、司法犯罪分野等で広く普及している。今後ますます認知行動療法への期待が高まる中、認知行動療法を行う者の知識、技能、資質の質保証が重要な課題となっている。

同学会では、認知行動療法の実践家に必要とされる基本的な知識、技能、資質に関するガイドラインを定め、それに基づく教育研修制度を整備し、一定のレベルに到達した者に「認知行動療法師」という資格を認定する制度を整備するとともに、有資格者の継続研修と実践力評価を行うことで、国内の認知行動療法の質保証並びにさらなる普及・発展に寄与していきたいとしている。

「認知行動療法師」の研修プログラムの詳細は以下の通り。

●研修の要件
認知行動療法トレーニングガイドライン基本項目に記載されたすべての領域を、次の(1)、(2)、(3)のいずれかによって履修することが研修の要件となる。(1)日本認知・行動療法学会が主催する研修会、ワークショップ等、(2)他団体が行った研修会、ワークショップ等のうち日本認知・行動療法学会が認定した科目、(3)日本認知・行動療法学会が認定する教育機関において行われた講義、演習、スーパービジョン等のうち、同学会が認定した科目。

●実習の要件
認知行動療法の効果が示されている症状や問題を有する2例以上に対して、適切な基準に基づいて認知行動療法を最後まで終えることを実習の要件とする。なお、集団認知行動療法の実践経験も含めることができるが、その場合は全プログラムを通して、自身がファシリテータを行ったものであることが必要となる。

●スーパーバイズの要件
1ケース以上について、アウトカムデータに基づいたスーパービジョンを、同学会が認定する認知行動療法スーパーバイザーから継続的に受け、その内容をケースレポートで報告することをスーパーバイズの要件とする。

資格は5年ごとに更新、必要な条件満たす必要あり

なお、認知行動療法師取得のための研修プログラムは、日本認知・行動療法学会が定める認知行動療法トレーニングガイドライン基本項目(認知行動療法の理論と発展、ケースフォーミュレーション、面接の構造化と基本的態度・応答技術、認知行動療法を構成する基本技法、個別性への最適化と困難ケースへの対応・スーパービジョンの効果的な活用法、臨床研究の方法論と倫理、うつ病への認知行動療法、不安症への認知行動療法)に準拠し、要件を満たす研修、実習、スーパーバイズから構成されるものとしている。詳細は以下の通り。

●申請できる専⾨職
⽀援の専⾨資格については、国家資格かそれに準ずる資格として公的に認められた資格を対象とする(医師、公認⼼理師、看護師、作業療法⼠、理学療法⼠、産業カウンセラー、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠、⾏動療法⼠、臨床⼼理⼠など)。ただし、国際的に認知⾏動療法を実施できるとされる資格などもあることから、申請内容などを確認した上で資格認定委員会にて協議を行い、受験資格を認定することがある。

●審査について
上記専⾨職において、日本認知・行動療法学会が定める認知⾏動療法トレーニングガイドラインの基本項⽬に記載されたすべての領域を履修していることが証明された者に対して、申請書類、ケースレポート、⾯接によって審査を⾏う。

●資格の登録と更新について
資格認定委員会による審査を経て合格が決定した者に対して、合格認定を交付する。合格者は資格登録料を⽀払い、認知⾏動療法師として登録される。資格は5年ごとの更新とし、更新には定められた更新に必要な条件を満たす必要があるものとする。

●学会認定認知⾏動療法スーパーバイザーについて
認知⾏動療法師の育成をはじめ、認知⾏動療法師の指導を担う資格として、認知⾏動療法スーパーバイザー(以下、スーパーバイザー)を学会認定する。スーパーバイザーは認知⾏動療法師を持ち、かつスーパーバイジーの指導にあたる必要な識⾒を備えていることが求められる。認定スーパーバイザーも認知⾏動療法師と同じく、5年ごとの更新制とし、更新には定められた更新に必要な条件を満たす必要があるものとする。

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