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膠原病の難治性CLIに対し「自家骨髄単核球細胞移植」が効果的と判明-京都府医大

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2019年04月24日 PM01:00

十分に安全で継続可能な治療法がない「

京都府立医科大学は2月18日、膠原病、特に強皮症にともなう末梢血管閉塞による重症虚血肢(Critical Limb Ischemia; )に対して自家骨髄単核球細胞移植が効果的であることを実証したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科循環器内科学の庄司圭佑医師らの研究グループによるもの。研究成果は「Circulation Journal」に掲載されている。


画像はリリースより

膠原病の中でも、強皮症は皮膚や臓器が肥厚し硬化する疾患で、血管壁の肥厚などのため末梢循環不全を呈し、難治性指尖潰瘍などの四肢の虚血性症状を呈することが多い疾患。強皮関連の重症虚血肢に対するエンドセリン受容体拮抗薬などの薬物療法の効果は限定的であり、副作用や薬価などの観点からも、十分に安全で継続可能な治療法がないという現状がある。

さらに、膠原病関連の重症虚血肢に対するカテーテルや外科的な血行再建術の成績も、下肢閉塞性動脈硬化症に対するものと比較して、切断回避率や血管の開存率も有意に低いと報告されている。そのため、強皮症をはじめとする膠原病関連の難治性CLIに対する、新たな血流改善のための治療が求められている。

特に強皮症症例での四肢救肢率高く

研究グループは、自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法を臨床導入している10施設にて治療を施行された膠原病関連の重症虚血肢症(no-option CLI)例(69例)をそれぞれ強皮症関連群(39例)、非強皮症関連群(30例)に分けて解析を行った。追跡期間中央値は36.5か月。10年の全生存率は強皮症関連群、非強皮症関連群それぞれ59.1%、82.4%。また、10年の四肢の大切断回避率は、それぞれ97.4%、82.6%だった。また、四肢の大切断・小切断は強皮症関連群で、より少ない傾向にあり、さらに術前術後での安静時の疼痛スコアの改善度は、両群で有意に改善していた。また、この治療に関連する重大な合併症や死亡は治療後6か月以内では認めず、長期間の追跡で治療に起因する死亡は認めなかった。

以上のことから、膠原病関連の重症虚血肢に対する自家骨髄単核球細胞移植を用いた血管再生療法は安全性・有効性を有しており、強皮症症例では他の膠原病を有する症例よりも、四肢の救肢率が高い傾向にあったことが判明した。

膠原病症例の症状緩和・救肢に期待

膠原病関連の重症虚血肢の虚血症状の改善・救肢率向上は、疼痛や切断による精神的・肉体的な苦痛を緩和し、ADLやQOLを改善させる効果がある。強皮症をはじめとする膠原病疾患症例の平均寿命は上がってきており、重症虚血肢を経験する症例も、今後増加してくることが予想されている。

また、虚血症状の改善で歩行や運動療法が可能になれば、生活習慣や加齢により生じる動脈硬化性疾患などを予防できる可能性もある。さらに、同治療により新生された血管が維持されれば、長期的に虚血症状から解放され、高価な薬物療法を継続する必要もなくなり、医療費の削減も期待できるという。

研究グループは、「自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法により、従来の治療に抵抗性あるいは忍容性のない選択肢のない膠原病関連、特に強皮症に関連する重症虚血肢の虚血症状の改善と高い救肢率が証明された。本治療は多くの重症虚血肢を呈する強皮症をはじめとする膠原病症例の症状緩和・救肢に貢献できる可能性がある」と、述べている。

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