医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > マルチキナーゼ阻害剤レンビマ、切除不能な肝細胞がんで追加承認-エーザイと米メルク

マルチキナーゼ阻害剤レンビマ、切除不能な肝細胞がんで追加承認-エーザイと米メルク

読了時間:約 1分10秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年03月27日 PM01:15

、腎細胞がんに続き

エーザイ株式会社と米メルク社は3月23日、(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、日本において新たに切除不能な肝細胞がんの効能・効果追加の承認を取得したと発表した。

レンビマは、血管内皮増殖因子受容体()のVEGFR1、2、3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体()のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能な、新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤。エーザイが創製した。

現在は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50か国以上で承認を取得。また、米国、欧州など40か国以上で、(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得している。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx(R)」の製品名で発売。肝細胞がんに係る適応について、今回の日本以外には、米国・欧州(2017年7月)、中国(同年10月)、および台湾(同年12月)などにおいて承認申請中。

全身化学療法の一次治療薬としては約10年ぶりの承認

今回の承認は、エーザイが実施した全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんの患者を対象とした臨床第3相試験(304/REFLECT試験)の結果に基づいている。同試験の結果、レンビマは標準治療薬であるソラフェニブを対照として、全生存期間(中央値)の統計学的な非劣性を証明し(レンビマ群13.6か月vsソラフェニブ群12.3か月、ハザード比0.92(95%信頼区間:CI=0.79-1.06))、主要評価項目を達成。また、副次評価項目である無増悪生存期間(ハザード比0.66(95%CI=0.57-0.77)、p<0.00001)、無増悪期間(ハザード比0.63(95%CI=0.53-0.73)、p<0.00001)、および奏効率(レンビマ群24%vsソラフェニブ群9%、p<0.00001)について、ソラフェニブに対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。

さらに、全般的なQOLの評価(事前に規定した副次評価項目)において、ソラフェニブと比較して、痛みや下痢などのQOLの悪化を遅延した(名目p値<0.05)。同試験のレンビマ投与群で高頻度に確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧(42%)、下痢(39%)、食欲減退(34%)、体重減少(31%)、疲労(30%)で、これまでに認められた安全性プロファイルと同様だった。

なお、今回の承認は、レンビマについて、世界で最初の切除不能な肝細胞がんの適応での承認。また、国内において、肝細胞がんの全身化学療法の一次治療薬としては、約10年ぶりの新たな治療選択肢の追加となる。(横山香織)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 婦人科疾患の診断や不妊治療に有用な免疫検査パネルを発売-シスメックスほか
  • 新型コロナの次世代 mRNA ワクチン「コスタイベ筋注用」、国内第Ⅲ相試験で既存オミクロン株対応2価ワクチンに対する優越性検証を達成-Meiji Seika ファルマ
  • SGLT2阻害薬、糖尿病関連腎臓病の進行を抑える新たな仕組みを発見-岡山大ほか
  • 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー薬「アセノベル」承認-ノーベルファーマほか
  • 遺伝子治療レンメルディ、小児の異染性白質ジストロフィーでFDA承認-協和キリン