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大腸がんの高精度な検出方法を開発-東京医科大ら

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2018年03月12日 PM01:30

尿中の代謝物濃度を測定しパターンをAIで解析

東京医科大学は3月8日、尿中の代謝物濃度を測定し、そのパターンを人工知能()で解析することで、大腸がん患者を高精度に検出する方法を開発したと発表した。この研究は、同大学消化器外科・小児外科の勝又健次教授と、低侵襲医療開発総合センター/健康増進・先制医療応用部門の杉本昌弘教授(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授兼任)らと、慶應義塾大学先端生命科学研究所との研究チームによるもの。研究成果はスイスMDPI団体による「International Journal of Molecular Sciences Cancers」に掲載された。


画像はリリースより

日本のがんの部位別年齢調整死亡率では、大腸がんは男性・女性ともに非常に高い傾向にある。多くは、大腸ポリープからがんになるとされ、大腸ポリープで発見された場合は内視鏡的切除で根治が可能。早期がんであれば高い確率で根治が望める。そのため、早期発見・早期治療が極めて重要となる。

しかし現時点では、便潜血反応検査が、大腸ポリープおよびがんの早期発見の可能性を高める唯一の方法だ。血中の蛋白マーカーのCEAなど、他の腫瘍抗原は、一般の大腸がん発見のスクリーニングテストとして精度に限界があり、侵襲性が低く、感度・特異性が高く、簡便かつ安価な測定方法の確立が求められている。そのため、研究グループは、メタボローム解析を行い、血液などでがん患者特有の代謝物が検出できないかを研究してきた。

がん患者ではポリアミン類の濃度が高く

研究グループは今回、大腸がん患者、大腸ポリープ患者、健常者の合計242名から尿検体を集め、液体クロマトグラフィー・質量分析装置を用いて、イオン性の強い尿中代謝物を測定。その結果、がん患者では、代謝物の一種であるポリアミン類の濃度が、健常者やポリープを持つ患者に比べて高くなっていることが明らかとなったという。

大腸がんの発症にはいくつかの遺伝子の変異が関わっていることがわかっており、その中でもN1,N12-diacetylspermineは、がん細胞から血液に移行し、尿中で濃度が高くなることが知られている。これまで、検査だけでは、がん患者を非がん患者から見分ける感度や特異度精度が不十分だったが、今回、N1,N12-diacetylspermine以外にも患者ごとに異なる濃度パターンを示す別のポリアミン類の分子が観測できたことから、これらの組み合わせをAIに学習させ、高精度に識別を行うことに成功したという。

また、低侵襲に検体を採取し扱う研究において、尿の代謝物は採取時間などの影響を受けて変動する、特異性が低い、単独の分子マーカーでは感度・特異度が低いなどの課題がある。今回はそれらを、同一被験者から3日間、朝、昼、夕方等、複数回検体を採取しそのばらつきを基礎データとし、非がん患者に健常者だけでなくポリープ症例を含め、高感度な分子の測定方法の活用と複数分子を人工知能で高度に組み合わせるというアプローチで解決したとしている。

今後は、大規模な症例データでの精度検証の実施、高精度で簡便な測定方法とシステムの開発など実用化に向けた研究開発を進める、と研究グループは述べている。

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