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漢方薬による腸間膜静脈硬化症で適正使用情報発信ツールを公開-日漢協

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2016年02月09日 PM06:30

典型的な症状に腹痛、、悪心・嘔吐など

日本漢方生薬製剤協会は2月1日、サンシシを含有する漢方薬を処方する医師、調剤薬局を含めた医療関係者向けに、「漢方薬による腸間膜静脈硬化症」と題する適正使用情報発信ツールを同協会HPに公開した。

腸間膜静脈硬化症は、大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、静脈還流の障害によって、腸管の慢性虚血性変化をきたす疾患で、静脈硬化性大腸炎とも呼ばれる。近年、サンシシを含有する漢方薬の長期服用を原因の1つとする多くの報告がなされている。サンシシを含有する漢方製剤には、茵ちん蒿湯、温清飲、黄連解毒湯、加味帰脾湯、加味逍遙散、荊芥連翹湯、五淋散、柴胡清肝湯、梔子柏皮湯、辛夷清肺湯、清上防風湯、清肺湯、防風通聖散、竜胆瀉肝湯がある。

症状としては、主に腹痛(右側)、下痢、悪心・嘔吐のほか、症状の重いものではイレウスを呈するが、無症状(便潜血陽性を含む)の症例もある。サンシシ中のゲニポシドが大腸の腸内細菌によって加水分解され、生成されたゲニピンが大腸から吸収されて腸間膜静脈を通って肝臓に到達。その間に、アミノ酸やたんぱく質と反応し、青色色素を形成するとともに、腸間膜静脈壁の線維性肥厚・石灰化を引き起こし、 血流を鬱滞させ、腸管壁の浮腫、線維化、石灰化、腸管狭窄を起こすと考えられている。漢方薬の服用歴のない症例もあり、その他の要因として、環境要因や遺伝的要因、合併疾患との関係性や免疫異常の関与など、さまざまな考察がなされているが、現在のところ漢方薬以外に関連性が強く示唆される報告はない。

サンシシあるいはサンシシ含有漢方薬を長期間服用中の患者には注意

同ツールでは「対処・処置法」として、

・サンシシあるいはサンシシ含有漢方薬を長期間服用中の患者には注意
・初期症状あるいは便潜血陽性等の徴候をみのがさない
・診断のため、大腸内視鏡検査(生検を含む)、CT検査の実施
・確定診断がついた場合には漢方薬の投与を中止

の4点を挙げている。

このツールは、2013年に実施された厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)「腸管希少難病群の疫学、病態、診断、治療の相同性と相違性から見た包括的研究」班(研究代表:日比紀文)による「」全国調査の結果を基に情報を整理し、日本における「」の発生実態、診断、治療、予後について解説したもの。この資料は2015年9月に医療関係者向けの資料として作成されている。

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