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皮膚細胞で体内時計を測定する

読了時間:約 1分
2013年07月09日 PM08:13

体内時計に個人差

国立精神・神経医療研究センターの研究グループは皮膚細胞を用いて体内時計を測る手法を開発した。皮膚細胞を培養し、発光遺伝子で可視化して体内時計の周期を測定する。

夜勤従事者が就労者の20%以上に及ぶ24時間社会、夜型社会で不眠、過眠に悩む人は多い。睡眠リズムの問題は概日リズム睡眠障害をはじめうつ病や認知症にも高率に認められ、精神疾患の再発リスクを高め、社会復帰を妨げている。

体内時計の周期には個人差があり、その長短で寝起きのタイミングが決まる。周期に異常があれば概日リズム睡眠障害や冬季うつ病を発症する。つまり体内時計の個々の周期を測定することが睡眠医療には欠かせない。

簡便な測定法

これまでの体内時計の測定には特殊な施設や数週間の検査、24時間採血が必要で、臨床では困難だった。研究グループは視交叉上核内にある体内時計の中枢は測れないが、末梢細胞内にある時計遺伝子は調べられると考えた。皮膚切片から培養した線維芽細胞に発光遺伝子を導入し、発光リズムの周期を測定した結果、個人の生体リズムの特徴を評価できるとわかった。

末梢時計リズムの周期がクロノタイプ(朝型夜型)や休日の睡眠習慣と相関することが確認できた。一方、平日の睡眠習慣とは相関せず、平日は社会時間による縛りから自分の体質に合わない時間帯で就寝・入眠している人が多いと示唆される。

今回確立した簡便な体内時計周期の測定法で、生体リズム障害の診断精度が向上し社会的時差ぼけを改善すると期待される。いずれは個人にあった睡眠プログラムの提供も考えられる。(馬野鈴草)

▼外部リンク

国立精神・神経医療研究センター
http://www.ncnp.go.jp/

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