低身長を示す遺伝性疾患「軟骨無形成症」、FGFR3の活性化変異が主な原因
協和キリン株式会社は11月21日、開発中のFGFR1-3経口阻害薬KK8398(infigratinib)を用いた、軟骨無形成症の患者を対象としたAOBA試験で、11月20日に最初の患者への投与を実施し、試験を正式に開始したと発表した。

軟骨無形成症は、低身長を示す代表的な遺伝性疾患で、およそ2万出生に1人の割合で発症し、米国およびEUで約5万5,000人、日本でもおよそ6,000人が罹患しているとされる。軟骨無形成症は、患者の健康状態および生活の質に影響を及ぼし、低身長、大後頭孔狭窄、脳室拡大、脊柱管狭窄症、脊椎後弯、閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸症状、中耳炎、難聴、歯科不整、四肢合併症、肥満などのさまざまな合併症を来す。患者の97%以上にFGFR3の活性化変異が認められ、この活性化変異は現在軟骨無形成症を発症させることがわかっている唯一の遺伝子変異である。
FGFR1-3を選択的に阻害する低分子経口薬infigratinib、国際第3相試験も進行中
KK8398(infigratinib)は、FGFR1-3を選択的に阻害する低分子経口薬である。現在、BridgeBio Pharma社により軟骨無形成症患者を対象とした国際共同第3相臨床試験が実施されている。日本国内においては、骨系統疾患を対象とした開発および販売に関する独占的ライセンスが協和キリン株式会社に付与されている。
国内第3相AOBA試験、3~18歳未満6例対象で主要評価項目は年間身長成長速度
AOBA試験はKK8398(infigratinib)の多施設共同、非盲検、単群での国内第3相臨床試験。この試験は、日本の患者における有効性および安全性を評価する。対象は3歳以上18歳未満の約6例を予定し、52週間での投与・観察を行う。主要評価項目は年間身長成長速度、副次評価項目は成長および体型のパラメータ、生活の質(QOL)、安全性指標などである。国際試験とのデータ整合を図りつつ、日本国内における新たな治療選択肢の提供を目指す。
同社は、「軟骨無形成症は低身長だけでなく、多様な身体的・社会的課題を伴う指定難病であり、その影響は生涯にわたり続く。この試験を通じ、安全性および有効性の科学的根拠を確立し、国内の患者の生活の質を向上させる新たな治療選択肢を少しでも早く提供できるように取り組んでいく」と、述べている。
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・協和キリン株式会社 ニュースリリース


