高齢者の社会参加と認知症リスクの関連、長期の追跡研究はなかった
東京科学大学は10月22日、全国の65歳以上の高齢者約4.8万人を対象に、継続的な社会参加(スポーツの会や趣味の会などへの参加)と認知症リスクとの関連を調査した結果を発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科歯科公衆衛生学分野の松山祐輔准教授、相田潤教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Social Science & Medicine」のオンライン版に掲載されている。

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これまでの研究から、高齢者が地域活動や交流の場に参加すること(社会参加)が、認知症リスクの低下に関与する可能性が報告されてきた。しかし、長期にわたる追跡研究や、途中で変化する社会参加の状況や健康状態などを踏まえた検証は十分に行われていなかった。
高齢者4万7,698人対象、社会参加と認知症リスクの関連を解析
そこで今回の研究では、高齢者の継続的な社会参加と認知症リスクの関連を、大規模な疫学データを用いて明らかにすることを目的とした。同研究では、2013年、2016年、2019年に実施された「日本老年学的評価研究(JAGES)」に参加した4万7,698人の高齢者のデータを分析した。スポーツの会や趣味の会などに週1回以上参加していることを社会参加と定義し、追跡期間中に変化する健康状態などの背景要因も考慮に入れて解析を行った。
週1回以上継続的に社会参加、9年間の認知症発症割合が平均3.2ポイント低
その結果、継続的に社会参加していた高齢者では、認知症の発症リスクが低いことが明らかになった。具体的には、スポーツの会や趣味の会などに週1回以上継続的に参加していた人では、9年間の認知症の発症割合が平均で3.2ポイント低いことが明らかになった。
高齢者が地域活動などに参加し続けられる支援の重要性示す
同研究は、高齢者の継続的な社会参加が、長期的な認知症予防に役立つ可能性を示したものであり、高齢者が地域活動や交流の場に参加し続けられるよう支援する取り組みの重要性を示している、と研究グループは述べている。
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