女性教職員2,078人対象、ストレスチェック結果と月経不順発生リスクの関連を評価
大阪大学は4月24日、2019〜2021年度にストレスチェックを受けた同大の女性教職員2,078人を2022年度まで追跡し、ストレスチェックの結果と月経不順の関連を調査した結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の松村雄一朗氏(博士課程)とキャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Epidemiology」に掲載されている。

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従来、職場における心身のストレスが月経不順のリスクである可能性が示唆されていた。しかし、大規模集団を長期間追跡した研究報告はなく、その関連性は明らかではなかった。
研究グループは、2019~2021年度にストレスチェックと職員健診を受けた19~45歳の大阪大学の女性教職員2,078人を2022年度まで追跡し、ストレスチェックの結果と月経不順の発生リスクの関連を評価した。
不安/眠れないなど心身ストレス反応高の女性、月経不順発生リスク高
研究の結果、ストレスチェックの3領域(仕事のストレス要因(A項目17問)、心身のストレス反応(B項目29問)、周囲のサポート(C項目9問))のうち、心身のストレス反応が高い女性教職員は月経不順の発生リスクが高いことが明らかになった。ここでの「心身のストレス反応」とは、「不安だ」「ゆううつだ」「動悸や息切れがする」「眠れない」といった状況を指す。
心身のストレス反応の点数に基づいて、下位から0~49%、50~74%、75~89%、90~100%の4群(Q0-49、Q50-74、Q75-89、Q90-100)に分類し、月経不順の発生リスクを算出した。心身のストレス反応が最も低い教職員(Q0-49)に比較して、Q50-74、Q75-89、Q90-100の教職員の月経不順の発生リスクは、1.4倍(95%信頼区間1.0–1.9)、1.5倍(1.0–2.2)、2.2倍(1.4–3.4)であり、ストレスへの曝露が増えるにつれ、女性教職員の月経不順の発生のリスクが上昇していた。一方、仕事のストレス要因と周囲のサポートは月経不順との関連は認められなかった。
女性の生活の質の改善に期待
今回の研究成果は、職場での心身のストレス反応が高い人は月経不順の発生リスクが高いことを示している。昨今、社会進出がめざましい女性の健康対策は重要な課題として挙げられているが、全ての分野がカバーされているとは言いがたい状況である。職場の心身のストレスが月経不順の発生リスクであるという啓発を通じて、職場環境への介入により職場のストレスを低下させ、女性の生活の質の改善がなされることが期待される、と研究グループは述べている。
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・大阪大学 ResOU