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潰瘍性大腸炎特異的自己抗体と高安病との関連を解明-理研ほか

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2024年05月15日 AM09:30

高安病患者における抗インテグリンαvβ6抗体の関連は不明だった

(理研)は5月9日、(TAK)と潰瘍性大腸炎(UC)の病態形成機構を解明したと発表した。この研究は、理研生命医科学研究センター ゲノム解析応用研究チームの寺尾知可史チームリーダー(静岡県立総合病院 臨床研究部 免疫研究部長、 薬学部 ゲノム病態解析講座 特任教授)、石川優樹研究員らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Frontiers in Immunology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

TAKは、大動脈に炎症を起こす自己免疫性血管炎の一つであり、20~30歳代の若い女性が多く発症する。一方、UCも発症年齢はTAKと同様だが、TAKのような明確な男女差は認められない。

TAK患者ではUCの合併が、非TAK患者あるいは健常者よりも高いことが知られており、UC合併TAK患者においては非合併患者よりもTAKの発症年齢が若く、HLA-B*52保因者が有意に多いことが知られていた。HLA-B*52はUCのリスク遺伝子でもあることから、両疾患には共通の遺伝背景に基づいた病態形成機構が存在すると考えられていた。一方、TAK、UCともに血管内皮細胞に対する自己抗体を中心に、さまざまな自己抗体がこれまで報告されてきた。

中でも、UCに特異的な抗体である抗インテグリンαvβ6抗体が同定され、感度と特異度の高さから臨床における有用性が、同研究グループらによって最近報告された。しかし、TAK患者における抗インテグリンαvβ6抗体の検討はこれまで報告がなかった。ただ、TAKとUCの間に共通の遺伝背景が存在することからも、抗インテグリンαvβ6抗体とTAKの関連を検討することは、両疾患の病態解明において有用であると考えられた。

抗インテグリンαvβ6抗体のUC特異性を確認、HLA-B*52も高い傾向

研究グループは、京都大学病院、長崎大学病院、東北大学病院に通院するTAK患者から提供された血液サンプルのうち、DNAの遺伝子型タイピングと抗インテグリンαvβ6抗体価の測定歴のある227人を対象として、血漿中の抗インテグリンαvβ6抗体とUC合併の有無、リスクHLA遺伝子であるHLA-B*52の有無との関連を調べた。

抗インテグリンαvβ6抗体陽性率について、TAK患者全体では7.05%(16/227)、UC合併のないTAK患者でわずか3.18%(4/152)であったのに対し、UC合併のあるTAK患者での陽性率は87.5%(7/8)と有意に高く(オッズ比121、p値2.99×10-10)、抗インテグリンαvβ6抗体のUC特異性が改めて確認された。

一方、僅かながらUC合併のないTAK患者においても、抗インテグリンαvβ6抗体が陽性だった。両疾患のリスク遺伝子であるHLA-B*52の有無については統計学的に有意な差には至らなかったものの、抗体陽性群においてHLA-B*52陽性率が高い傾向にあった(オッズ比2.84、p値0.068)。

TAK患者の抗インテグリンαvβ6抗体産生は、HLA-B*52が関連する機序と異なる

次に、抗インテグリンαvβ6抗体とUCおよびHLA-B*52の関連について、ロジスティック回帰分析モデルを用いて検討した。抗インテグリンαvβ6抗体とUCはHLA-B*52の有無に関係なく強い関連を示すことが確認された(オッズ比 212.8、p値 3.94 10-6)。一方、HLA-B*52と抗インテグリンαvβ6抗体との間に有意な関連は認められず、抗体陽性群でHLA-B*52陽性率が高いという傾向は、UC合併の影響であると考えられた。また、UC合併のないTAK患者において抗インテグリンαvβ6抗体が認められたことを踏まえ、これらの患者における抗インテグリンαvβ6抗体とHLA-B*52との関連をロジスティック回帰分析にて検討した結果、統計学的に有意な関連を認めなかった。また、TAKの重症合併症である大動脈弁閉鎖不全症についても、抗インテグリンαvβ6抗体との関連は認められなかった。

これらの結果から、TAK患者における抗インテグリンαvβ6抗体の産生は、HLA-B*52が関連する機序とは異なることが示唆された。

TAKで合併の多いUCのスクリーニングに抗インテグリンαvβ6抗体が有用な可能性

UC合併のないTAK患者において、抗インテグリンαvβ6抗体の有意な関連が認められなかったことは、共通の遺伝的背景を有するTAK患者においても、同抗体がUCに対して特異性が高いことを意味しており、両疾患における病態形成機構の違いを説明する要素の一つであると考えられる。また、実際の患者における抗インテグリンαvβ6抗体の作用の解明など、今後さらなる研究の進展により、両疾患の病態解明につながり得る、興味深い知見だと思われる。

「実臨床においても、本抗体がTAK患者で合併の多いUC発症のスクリーニングに有用であることが示唆され、TAK患者のマネジメントに貢献すると期待される」と、研究グループは述べている。

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