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冠動脈周囲脂肪組織濃度を、単純CT画像から算出可能な手法を開発-順大

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2023年02月16日 AM10:23

造影剤を用いる冠動脈CT、腎臓病等の患者で施行しづらいという課題

順天堂大学は2月15日、造影剤を用いずに撮影できる「心電図同期胸部単純CT画像」という手法を開発し、この手法が冠動脈周囲脂肪組織(PCAT)濃度の測定において有用であることを確認したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科循環器内科学の高橋大悟大学院生、藤本進一郎准教授、南野徹教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Atherosclerosis」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

心臓は大動脈から枝分かれしている冠動脈という血管によって血液が供給されており、冠動脈が動脈硬化による狭窄や閉塞をきたすことで、狭心症や心筋梗塞が引き起こされる。冠動脈周囲の脂肪組織の濃度は、冠動脈の動脈硬化の進行や不安定化を促進する炎症を反映するといわれており、造影剤を用いた冠動脈CT画像から算出される冠動脈周囲脂肪濃度の値が高いほど、死亡率や急性心筋梗塞の発症率が高いことが報告されている。しかし、造影剤を用いるCT検査は腎臓病、気管支喘息、薬剤アレルギー等の患者には施行しづらく、適応は限定的だった。

単純CT画像による「NC-PCAT値」、冠動脈CTによるPCAT値と良好な正の相関

研究グループは、冠動脈石灰化スコアの評価に用いられる心電図同期胸部単純CTの水平断画像において、右冠動脈起始部背側の心臓周囲脂肪に、15×15mmの正方形の関心領域を設置。その領域内におけるCT値の平均の値を、単純CT画像による冠動脈周囲脂肪濃度()と定義した。心電図同期胸部単純CT と冠動脈CTを同時に撮像した300人のデータで検証したところ、NC-PCATの値は、造影剤を用いた冠動脈CTから算出されるPCATの値と良好な正の相関関係を示した。

また、NC-PCATの値は、心血管イベントの発症に関連するハイリスクプラークの存在の予測に有用であること、特に冠動脈石灰化がすでに進行している患者群において、唯一の関連因子であることが示された。

NC-PCAT値は独立した予後予測因子と判明

研究グループはさらに、中等度以上の冠動脈狭窄を有する333人を対象に平均2.9年観察した。その結果、NC-PCATの値は死亡や心筋梗塞の発生を予測する独立した唯一の指標であることがわかった。さらに、NC-PCATを中央値(-93.55 HU[Hounsfield Units])で2群に分けて解析を行ったところ、NC-PCAT高値群で有意に死亡・心筋梗塞の発生率が高いことが明らかになった。

+NC-PCAT、より精度の高い冠動脈疾患のリスク評価となる可能性

これまで心電図同期胸部単純CTでの冠動脈疾患スクリーニングには冠動脈石灰化スコアが有用とされてきたが、このスコアは冠動脈の狭窄度や冠動脈硬化の程度を反映する一方、急性心筋梗塞の発生母地となるような冠動脈の炎症や不安定さとの明らかな関連は認められていなかった。今回の研究により、冠動脈石灰化スコアとNC-PCATによる評価を組み合わせることで、より精度の高い心血管イベントのリスク層別化が実現でき、特にすでに石灰化や冠動脈硬化を有している症例においてNC-PCATの評価の有用性がより高いと考えられた。

低侵襲かつ簡便な心血管イベントのリスク評価の実現に期待

今回研究グループは、造影剤を用いない単純CT画像から、冠動脈周囲脂肪濃度(NC-PCAT)を算出する独自の手法を考案し、その妥当性・有用性を立証した。「心電図同期胸部単純CTから評価される冠動脈石灰化スコアにNC-PCATによる評価を加えることで、幅広い患者層に対して、低侵襲かつ簡便に、より精度の高い冠動脈疾患のリスク評価ができるようになることが期待される」と、研究グループは述べている。

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