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アデュカヌマブ、AD治療薬として承認申請-バイオジェンとエーザイ

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2020年12月14日 PM12:15

脳内Aβを除去、・軽度ADの臨床状態悪化を有意に遅らせる

・ジャパン株式会社とエーザイ株式会社は12月10日、バイオジェンがアルツハイマー病()治療薬候補アデュカヌマブについて、厚生労働省に新薬承認(J-NDA)を申請したと発表した。日本において、今回の申請は標準審査の対象となる。

(開発コード:BIIB037)はADの治療薬候補として開発された、アミロイドベータ(Aβ)を標的とするモノクローナル抗体。臨床試験において、脳内のAβを除去し、ADによる軽度認知障害(MCI)および軽度ADの臨床状態悪化を有意に遅らせることが示されている。認知機能の低下(悪化)を抑制し、金銭管理、家事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での外出などの日常生活動作におけるベネフィットが得られると期待されている。承認された場合、アデュカヌマブは、AD当事者の疾患経過に本源的な変化をもたらす初めての治療薬となる。

アデュカヌマブの有効性と安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、臨床第3相試験としてEMERGE試験とENGAGE試験が行われた。試験の主要評価項目は、CDR-SBのスコアの変化によって測定される認知機能および機能障害の低下抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性評価すだった。また、副次評価項目は、MMSE、ADAS-Cog 13およびADCS-ADL-MCIによって測定される臨床状態悪化の抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性評価だった。

日本の認知症当事者は約460万人、MCI当事者は約400万人

ADは、思考、記憶および自立の機能が損なわれ、早期の死亡につながる進行性の神経疾患。現在、この病気は進行の抑制、遅延、予防ができず、グローバルヘルス問題として拡大している。世界保健機関(WHO)の報告から、世界中で数千万人のAD当事者がいると推定されている。今後も、AD当事者数は増加するとともに、必要なヘルスケア関連のコストはより速いペースで増加し、その負担に巨費を要することが想定される。

厚生労働省の資料によると、日本における認知症当事者は約460万人、MCI当事者は約400万人(2012年)と推定されている。ADは、認知症の症例の約60〜70%を占めると推測されている。

ADは、毒性種であるAβプラークの異常な蓄積を含む脳の変化を特徴とし、その蓄積は症状が現れる約20年前から始まる。ADによるMCIは、発見および診断が可能となる症状が現れる最も早期の段階。現在の研究においては、ADの進行抑制、遅延をもたらすために、可能な限り早期に患者を見出し、治療することに焦点が当てられている。

アデュカヌマブは、共同開発ライセンス契約に基づきNeurimmune社から導入。2017年10月より、バイオジェンとエーザイが全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施している。現在、日本の申請に加え、米国で優先審査による米国食品医薬品局(FDA)の審査が進行中であり、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクション・デート(審査終了目標日)は2021年3月7日に設定されている。また、欧州医薬品庁においても審査中となっている。

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