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「母集団薬物動態/薬力学解析ガイドライン」策定、PDMAのサイトで公開-AMED

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2019年09月24日 AM11:45

近年の医薬品開発でのM&Sの利用状況、今後の指針を決める必要性

日本医療研究開発機構(AMED)は9月19日、「母集団薬物動態/薬力学解析ガイドライン」を策定し、厚生労働省および医薬品医療機器総合機構()のホームページで公開したと発表した。

近年の医薬品開発において、試験デザインや至適な用法・用量を検討する際に、医薬品の投与後の薬物動態(PK)、薬理反応、有効性または安全性データの一連の関係について数理学的なモデルを構築し、医薬品の投与から臨床効果が発現するまでの過程を推定する試み「モデリング&シミュレーション」(M&S)が注目されている。医薬品開発におけるM&Sの主な利用方法は、臨床試験で得られたデータを基にモデルを構築するトップダウンアプローチと、ヒトの生理学的な情報などを利用してモデルを組み上げ解析するボトムアップアプローチに大別される。これらのアプローチの代表的な解析方法として、トップダウンアプローチでは、母集団薬物動態()解析、母集団薬物動態//)解析や曝露-反応(ER)解析、ボトムアップアプローチでは生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析が挙げられ、いずれのアプローチも、血中濃度や臨床エンドポイントといった薬剤応答の予測等に利用される方法である。

これまでにPMDAに提出された新有効成分含有医薬品の承認申請資料中におけるM&Sの利用状況に関する調査では、集計を開始した平成25年度には約60%の申請品目でPPK解析が、約30%の品目でPPK/PD解析またはER解析が実施されていた。また、H26~28年度には約10%の申請品目でPBPKモデル解析が実施されていた。臨床薬物動態を評価するためにPPK解析を実施する際の留意点は、厚生労働省医薬局審査管理課長通知である「医薬品の臨床薬物動態について」で基本的な考え方が示されたが、近年の医薬品開発でのM&Sの利用状況等から、M&Sの適切な利用を促進するために、最新の科学的知見に基づくM&Sに関する行政指針の必要性が高まっていた。

医薬品開発におけるPPK解析・PPK/PD解析を実施する際の参考に

今回の研究では、最新の科学的知見に基づくM&Sに関する実用的な行政指針を作成することを目的として、産官学のメンバーから成る班の活動を平成27年から開始。近年の医薬品開発でのM&Sの利用状況や、欧米の医薬品規制当局によるM&Sに関するガイドラインの作成状況等を考慮して、PPK解析およびPPK/PD解析に関するガイドライン、医薬品のER解析に関するガイドライン、並びにPBPKモデルによる解析および解析報告書に関するガイドラインの作成に取り組んでいた。

そして、最初の指針となるPPK解析およびPPK/PD解析に関するガイドラインの作成を完了。「母集団薬物動態/薬力学解析ガイドライン」について」(令和元年5月15日付け薬生薬審発0515第1号)として厚労省から通知されたことから、PMDAのウェブサイトにおいてもその通知を公開した。現時点において科学的に妥当である一般的な方法が、今後の医薬品開発においてPPK解析およびPPK/PD解析を実施する際の参考となり、M&Sの適切な利用促進の一助となることが期待される。

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