厚生労働省は、塩野義製薬の注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセカプセル」(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)の流通管理策案を示した。来年1月4日までパブリックコメントを募集している。同剤は、覚醒剤の原料に指定されていることから特別な流通管理を行う必要があり、新たに社外委員会を組織し、適正使用管理システムを構築。各種登録や流通量などを一元管理すると共に、薬剤師等の医療者や医療機関、患者の管理システムへの登録を義務づける。
厚労省が示した流通管理施策案では、社外に医師、薬剤師、弁護士等で構成される適正流通管理委員会を設置し、各種登録時の審査や登録取り消しの役割を担うほか、ビバンセの流通管理の実施状況を確認したり、必要に応じて管理策の見直しなどを行うとしている。また、同委員会の登録事務局による「適正流通管理システム」を構築し、各種登録やビバンセの流通量などを一元的に管理するとした。
具体的には、ビバンセを取り扱う薬局と調剤責任者、医療機関を管理システムに登録させ、卸売販売業者に対しては登録施設以外への納入を禁止する。処方医にも管理システムへの登録を求め、登録時はeラーニングの受講や流通管理への同意を求めるほか、関連学会への参加や症例報告、論文によってADHDの治療経験の確認を行う。さらに、医師の登録には定期的な更新を求めると共に、新規に処方する患者の登録を行うとしている。
処方の流れについては、登録医師が患者の同意取得後、薬物乱用歴や第三者から得た患者の症状に関する情報源などを管理システムに登録した上で、管理委員会がID番号を記載した患者カードを発行し、医師から患者に交付する。処方時は、医師が患者カードや管理システムを使用して過去の処方内容を確認した上で、新たな処方内容を管理システムに入力し、処方箋を発行する。
調剤時は、登録薬局・薬剤師が患者カード、処方箋発行医師と医療機関を確認し、管理システム上の情報と一致しているかどうかを確認後、薬剤を交付する。
ビバンセは、覚醒剤の原料に指定されていることから、今月3日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で流通管理策案を審議・了承しており、パブリックコメントの募集後、来年1月以降の同部会で製造販売承認の可否を審議する見通しである。