医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > メタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常を砂糖の時間制限摂取で改善-名大

メタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常を砂糖の時間制限摂取で改善-名大

読了時間:約 1分31秒
2018年08月20日 PM12:30

日中の時間帯に限った摂取で脂肪肝と高中性脂質血症を改善

名古屋大学は8月16日、砂糖の取りすぎによって起こるメタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常(脂肪肝、高中性脂質血症)を、日中の活動している時間帯のみの時間制限摂取により、脂肪肝と高中性脂質血症が改善されることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「PLOS ONE」に掲載されている。


画像はリリースより

これまで、メタボリックシンドロームの原因は、エネルギーの過剰摂取、動物性油脂に多い飽和脂肪酸の過剰摂取などが主な要因であると考えられてきた。しかし、最近になって、砂糖の取りすぎが主要な原因のひとつであることがわかってきた。実際には、食品に元から含まれている糖ではなく、後から添加する糖(加糖)の過剰摂取が問題と考えられている。いわゆる異性化糖などの砂糖を構成するフルクトース(果糖)が原因であることはわかっているが、ジュースやお菓子などの取りすぎが問題と考えられている。そのため、2015年にWHOは1日の砂糖の摂取を、摂取エネルギーの5%未満、小さじ6杯分相当(約24g)にするよう指針を出した。

肝臓脂質代謝のリズムの振幅が重要

これまで、砂糖の過剰摂取の問題は、そのメカニズムが明らかにされていないため、あまり問題視されてこなかった。研究グループは、時間栄養学的研究によって、肝臓脂質代謝のリズムの振幅が重要であることを突き止めたという。そこで、摂食時間を日中の活動時間帯だけに制限することで、砂糖の過剰摂取による脂質代謝異常が改善されると考え、夜行性のラットを用いて、ラットの活動時間帯のみに砂糖を与える実験をした。これは、人では、日中の活動時間帯にあたる。その結果、砂糖の過剰摂取によって起きる脂肪肝や高中性脂質血症が改善されたという。

研究グループは、昼夜を問わず、四六時中食べていると、高コレステロール血症が起きることを報告している。逆に、メリハリのある摂取法として、「時間制限摂取」(主に日中に限って食事をする)をすることによって、高脂肪食による肥満なども改善することも、すでに報告されている。今回の研究成果は、砂糖によるメタボリックシンドローム予防にも時間制限摂取が有効であることを示すもの。摂取する時間帯の調整により、砂糖の取りすぎによるメタボリックシンドロームの予防が期待されると研究グループは述べている。(大場真代)

 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 新規CETP阻害薬Obicetrapib、LDL-C値を有意に低下-大阪医薬大ほか
  • 研修医の患者ケアオーナーシップ向上にシフト順守と達成感が重要-成育医療センター
  • デジタルヘルス・リテラシー質問票、eHLQ日本語版を作成-順大
  • 慢性腎臓病、運動習慣が将来の要介護回避に有用である可能性-名大ほか
  • メリンジョ由来の「グネチンC」、マウス実験で肥満・2型糖尿病を改善-熊本大ほか