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olaparib、BRCA遺伝子変異陽性転移性乳がんの第3相試験で主要評価項目を達成-英AZ

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2017年02月23日 AM11:15

卵巣がん以外で最初に有効性を示したPARP阻害剤

英・アストラゼネカは2月17日、生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移性乳がん患者の治療薬として、標準的な化学療法とolaparibを比較した第3相試験(OLYMPIAD試験)において、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な無増悪生存期間()の延長を示したことを発表した。

OLYMPIAD試験は、302例の病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移性乳がん患者を対象に、同剤300mg1日2回投与の有効性および安全性を、カペシタビン、ビノレルビンもしくはエリブリンのいずれかひとつによる化学療法と比較検討した、無作為化多施設共同第3相試験。欧州、アジア、北米および南米の19か国で実施された。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、副次的評価項目として、全生存期間(OS)、二次進行または死亡までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)および健康関連の生活の質(HRQoL)を評価した。

非転移性乳がんの第3相試験も進行中

1およびBRCA2は、損傷したDNAの修復に関わるタンパク質をコードする遺伝子で、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たす。これらの遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成しないか、正常に機能しなくなり、DNA損傷が適切に修復されない可能性がある。このため細胞のがん化につながり、さらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなる。

BRCA1およびBRCA2の特定の遺伝的変異は、女性の乳がんおよび卵巣がんのリスクを高めるとともに、その他の複数種類のがんでもリスク上昇との関連が指摘されてきた。BRCA1とBRCA2の遺伝子変異を合わせると遺伝性乳がんの約20~25%、全乳がんの約5~10%、卵巣がん全体の約15%を占める。BRCA1およびBRCA2遺伝子変異に関連する乳がんや卵巣がんは、非遺伝性の患者に比べ若年期に発症する傾向があるという。

olaparibは、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。現在は、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効しているプラチナ製剤感受性再発BRCA遺伝子変異(生殖細胞系/体細胞系)、高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんの成人患者の維持療法として、単剤使用がEUで薬事承認されている。同剤はまた、3回以上の化学療法による前治療歴のある、生殖細胞系BRCA遺伝子に病的変異あるいはその疑いのある変異を有する進行卵巣がん患者の単剤療法として米国で承認されている。別の非転移性乳がんに対しても第3相試験が進行しており、現在、世界中で患者を登録中。

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