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首都大学東京 健康福祉学部でがん化学療法看護認定看護師 教育課程オープンキャンパスを開催

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2013年12月06日 PM08:00

芝大門いまづクリニックの今津院長が講演

首都大学東京のがん化学療法看護 認定看護師 教育課程のオープンキャンパスが11月30日、同大学の荒川キャンパスで行われた。当日は、認定看護師を目指す看護師、アドバイスを送る同教育課程の学生や修了生ら約50名が訪れ、積極的に質問意見が交わされるなどにぎわった。

このオープンキャンパスでは、外部講師として芝大門 いまづクリニック院長の今津嘉宏先生が講演。「がんと漢方医学―看護師が行う漢方医学とフィジカルアセスメント」と題し、がん治療現場における漢方薬の現状と有効性を語った。

(講演する今津嘉宏先生)

重要なのは看護の「質」を上げること

今津先生は、多くの医師が、漢方薬を処方しているものの、約8割の医師、看護師が処方される漢方薬の詳細なメカニズムやその処方の意図を理解していない現状を説明。これは漢方について学校で勉強したことのある人材が、およそ2割にとどまっていることが影響していると語り、事前教育の重要性を示した。

また、看護師は医師、薬剤師が見落としがちな患者の変化をチェックする役割があると語り、患者が発する様々なサインをキャッチするすべを身に着けることを勧めた。「僕は脈を3本(指)で測ります。ICUやオペ室時での測り方と同じです。太さ、深さ、厚みが最も良くわかるのがこの方法です」と語り、日常的に行っている検査からでも様々な情報を得ることができるとした。加えて、「勤務時間を長くする必要はなく、質を上げること、視点や考え方を変えることが大切です」と今津先生。たとえば食欲不振の患者さんに漢方薬を処方するとしても、その症状がどこから来ているのかにより、処方するのは半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)かもしれないし、六君子湯(りっくんしとう)かもしれない、それ以外も考えられるとして原因を見極めることの必要性を説いた。

漢方医学の「気虚」という言葉の持つ意味

さらに今津先生は漢方医学における「病気」の考え方を紹介。漢方では全身倦怠感や食欲不振といった不定愁訴として捉えられがちな小さな変化も病気、「気虚」とすると語り、「フィジカルの変化もメンタルの変化も消化管の状態もみんな関係しています。これらをまとめて漢方薬では、気の状態と捉えます。口内炎だから口内炎の薬、食欲が無いから食欲が湧く薬、ではなく、全体として治すということを漢方では大切にしています」と述べた。

最後に今津先生は「見方を変えること。小さな変化に気づくこと。漢方の言葉を使ってみることで、今と同じスキルでもっと多くの情報を患者さんのために役立てることができます。それが、がん化学療法の認定看護師に求められる仕事だと思います。皆さんのスキルを頭の中でより整理するために漢方医学を活用してください」と結び、オープンキャンパスに訪れた看護師たちにエールを送った。がん化学療法 認定看護師コースは、日本看護協会のがん化学療法看護認定看護師の資格取得を目指す7か月間の教育課程。がん化学療法看護の最新知識を学び、がん化学療法看護分野で施設、および地域のリーダーとなる人材育成を行っているという。(QLife Pro編集部)

▼外部リンク

首都大学東京 認定看護教育課程
http://www.hs.tmu.ac.jp/programs/

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