医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > パーキンソン病発症をG3BP1タンパク質が抑制している可能性-新潟大

パーキンソン病発症をG3BP1タンパク質が抑制している可能性-新潟大

読了時間:約 1分28秒
2019年09月12日 PM12:30

α-シヌクレインのユビキチン化と凝集体形成のメカニズムを研究

新潟大学は9月10日、パーキンソン病の病原性タンパク質であるα-シヌクレインのユビキチン化と凝集体形成を抑制する分子「G3BP1タンパク質」を同定したと発表した。この研究は、同大学大学院医歯学総合研究科ウイルス学分野のAnisimov Sergei大学院生、髙橋雅彦准教授、藤井雅寛教授らの研究グ ループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」オンライン版にて公開された。


画像はリリースより

パーキンソン病は、黒質、線条体などのドーパミン神経細胞の変性と脱落を主体とする進行性の神経変性疾患。家族性および弧発性パーキンソン病の原因タンパク質として、α-シヌクレインタンパク質が知られている。神経細胞が、酸化剤、炎症などのストレスに曝されると、α-シヌクレインタンパク質がユビキチン化され、オリゴマー(多量体)を形成する。このオリゴマーが神経細胞に毒性を示し、神経細胞を死滅させる。

また、パーキンソン病の脳病変には、ユビキチン化α-シヌクレインの凝集体(レビー小体)が観察される。このレビー小体はパーキンソン病の特徴のひとつだが、α-シヌクレインタンパク質のユビキチン化と凝集体形成をコントロールするメカニズムについて、多くは明らかになっていない。

G3BP1、ユビキチン化α-シヌクレインの凝集体形成を抑制

研究グループは、G3BP1タンパク質がα-シヌクレインのユビキチン化と凝集体形成を抑制していることを発見。G3BP1による抑制に、p62タンパク質とUSP10タンパク質が関与していることがわかった。p62とUSP10は、すでにα-シヌクレインのタンパク質分解、凝集体形成および細胞毒性を制御することが報告されている。また、G3BP1は、α-シヌクレイン以外の多くのタンパク質のユビキチン化と凝集体形成を抑制していることが判明した。

これらの結果は、G3BP1がタンパク質のユビキチン化およびユビキチン化タンパク質の凝集体形成を制御する主要因子であることを示している。ユビキチン化タンパク質の異常な蓄積は、さまざまな神経変性疾患の発症に関与することから、G3BP1が複数の神経変性疾患の発症を抑制していることが示唆された。研究グループは、G3BP1を標的とした治療薬について解析を進めているとしている。(QLifePro編集部)

 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 新規CETP阻害薬Obicetrapib、LDL-C値を有意に低下-大阪医薬大ほか
  • 研修医の患者ケアオーナーシップ向上にシフト順守と達成感が重要-成育医療センター
  • デジタルヘルス・リテラシー質問票、eHLQ日本語版を作成-順大
  • 慢性腎臓病、運動習慣が将来の要介護回避に有用である可能性-名大ほか
  • メリンジョ由来の「グネチンC」、マウス実験で肥満・2型糖尿病を改善-熊本大ほか