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エンパグリフロジン、CKD対象P3試験で有効性示し早期終了-独ベーリンガーと米リリー

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2022年03月29日 AM11:30

先行試験で心臓と腎臓に対するエンパグリフロジンの有益性を立証

独ベーリンガーインゲルハイムと米イーライリリー・アンド・カンパニーは3月16日、(製品名:(R))について、慢性腎不全の成人患者対象の第3相EMPA-KIDNEY試験で、中間評価の結果、有効性が示されたため、独立データモニタリング委員会の推奨のもと早期終了を決定したと発表した。

エンパグリフロジンは、1日1回経口投与の選択性の高いナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬。心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された、初めての2型糖尿病治療薬だ。日本において慢性心不全に対する治療薬として承認されているのは、「ジャディアンス錠(R)10㎎」であり、効能・効果は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)だ。

EMPA-KIDNEY試験は、ランドマーク試験であるEMPA-REG OUTCOME試験と EMPEROR試験に続いて行われた試験で、いずれの試験でも心臓および腎臓に対するエンパグリフロジンの有益性を立証していた。EMPA-REG OUTCOME試験は、SGLT2阻害薬の心血管アウトカムに対する試験として心血管と腎臓のアウトカムに対する有益性を立証した初の試験で、心血管疾患の既往を持ち、標準治療を受けている2型糖尿病患者を対象としていた。また、各種のEMPEROR試験のサブ解析では、慢性心不全の成人患者において、左室駆出率(LVEF)にかかわらず心臓と腎臓に対してエンパグリフロジンの有益性が示されていた。

糖尿病の有無やアルブミン尿の有無を問わずCKD成人患者が参加

EMPA-KIDNEY試験は、腎臓病の進行と心血管死のリスクに対するエンパグリフロジンの影響を評価する国際無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験。6,600人を超える慢性腎臓病の成人患者を対象とし、eGFR値(腎機能検査値)の軽度~重度の低下がみられる患者、尿中アルブミン濃度(尿中タンパク質の一種)が正常~高値の患者、糖尿病患者および非糖尿病患者、さまざまな基礎疾患に起因する慢性腎臓病の患者も試験に組み入れられている。参加者は、標準治療に加えてエンパグリフロジン10mgまたはプラセボの投与を受けた。

主要評価項目は、心血管死または腎臓病の進行(末期腎不全(透析や腎移植などの腎代替療法が必要とされる状態)、eGFRが10mL/min/1.73m2未満で持続する状態、腎死、またはeGFRの無作為化時点からの低下率が40%以上で持続する状態のいずれか)のいずれかが生じるまでの期間とされている。重要な副次評価項目は、心血管死または心不全による入院、すべての入院、および全死因による死亡である。なお、試験の実施、解析と報告は、英オックスフォード大学MRC PHRUが行っている。

今回の決定は、正式な中間評価を行った結果、慢性腎臓病の成人患者におけるエンパグリフロジンの有効性に関して、試験計画書に規定された基準を満たした結果を受けて提出された勧告に従ったもの。EMPA-KIDNEY試験の詳細な結果は今年中に発表される予定だ。

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