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炎症性腸疾患における新型コロナの重症化因子が判明-札幌医科大ほか

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2022年02月15日 AM11:15

IBD患者は、免疫を抑制する薬剤の常用でCOVID-19に罹患しやすいのか?

札幌医科大学は2月14日、)患者における新型コロナウイルス感染症()の重症化因子が、高齢、BMI高値(肥満)、IBD治療におけるステロイドの使用であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部消化器内科学講座の仲瀬裕志教授を代表とする研究グループ(日本人炎症性腸疾患患者におけるCOVID-19感染者の多施設共同レジストリ研究グループ:J-COSMOS group)によるもの。研究成果は、「Journal of Gastroenterology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

IBDは腸に慢性的な炎症を繰り返す疾患で、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの特定難病に大別される。日本においてIBD患者は増加しており、2020年に約22万人の日本人が罹患していると推定されている。IBD患者は免疫を抑える治療薬を常用することが多いため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患しやすい可能性や重症化しやすい可能性が危惧されていた。

同研究は日本人のIBD患者がCOVID-19を発症した際の臨床的特徴を把握し、今後の診断や治療介入に生かすために計画されたもので、2020年6月~2021年10月までにレジストリに登録された患者を対象に実施された。

IBD患者のCOVID-19累積推定発症率は0.61%、日本の一般人口より低値

研究グループは、参加登録された医療機関に通院中または入院したIBDの患者で、かつCOVID-19に罹患した人を対象に、IBDの活動性、IBDの治療薬、COVID-19の重症度などについて調査した。

日本人IBD患者におけるCOVID-19の累積推定発症率は0.61%であり、日本の一般人口における累積発症率より低値だった。これは、IBD患者が自分の免疫が弱いことを自覚し、感染予防を徹底していることへの表れと考えられるという。

COVID-19発症によるIBD悪化は「少」、コロナ重症化因子は高齢・肥満・ステロイドの使用

登録患者のうちCOVID-19が重症化した患者は7%で(WHO重症度分類)、残りの93%は非重症型だった(厚生労働省の定義する重症度分類における中等症Ⅱと重症は、どちらもWHO重症度分類の重症に相当する)。また、COVID-19の発症によってIBDの病状が悪化することは少ないことが判明。これらに加え、統計学的解析により高齢、高BMI(肥満)、IBDに対するステロイドの使用が、IBD患者におけるCOVID-19の独立した重症化因子であることが判明した。

COVID-19流行下のステロイド使用、なるべく短期間を推奨

今回の研究により、IBD治療薬としてのステロイドの使用が、COVID-19を悪化させるリスクであることが明らかにされた。このためCOVID-19流行下において、IBD治療のためにやむを得ずステロイドを使用する際は、なるべく投与期間を短くすることが推奨されると考えられる。一方で、ステロイド以外のIBDにおける免疫抑制治療薬(チオプリン製剤、抗TNF-α抗体製剤、JAK阻害剤)は、COVID-19を重症化させるリスクが少ないことが明らかになった。

COVID-19の流行や新たな変異ウイルスの発生などのCOVID-19に関する医学的、社会的な問題は、いまだ続いている。「今後、COVID-19罹患中に関するIBD治療薬の継続または休薬の安全性についての解析や、新たな変異株の流行によるIBD患者への影響についてなど、さらなる調査研究を続けている」と、研究グループは述べている。

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