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全国の小児の「口唇閉鎖不全」、有病率30.7%-新潟大ほか

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2021年02月18日 PM12:15

「お口ぽかん」は、鼻から下の顎の大きさの増加や悪い歯並びなどと関連

新潟大学は2月17日、日本で初めて口唇閉鎖不全(お口ぽかん)に関する全国大規模疫学調査を行い、小児における同疾患の有病率を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野の齊藤一誠准教授らと、大垣女子短期大学歯科衛生学科の海原康孝教授および鹿児島大学病院小児歯科の稲田絵美講師らの共同グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」に掲載されている。


画像はリリースより

全身的および局所的な要因により、顎顔面の成長と発達が妨げられると、小児期に口や顔面の骨格、筋肉などの軟組織、咬合(かみ合わせ)、および歯列弓(歯並び)に不均衡が生じる。特に、異常な話し方や嚥下習慣、舌を突出する癖、お口ぽかん、口呼吸、および異常な食習慣などの口腔習癖は、子どもの口の健康な発達に深刻な悪影響を及ぼす。中でもお口ぽかんは、口唇や顔の表情筋の弛緩と過緊張、口呼吸、不自然な口唇の長さや鼻から下の顎の大きさの増加などと関連していることが明らかになっている。また、口唇の形態・機能・位置はそれぞれ密接に関連しながら発達し、徐々に話し方や対人コミュニケーション能力を向上させる。

一方、口唇を閉じる力である口唇閉鎖力が弱くなると、歯を取り囲んでいる口唇・頬と舌の圧力のバランスが崩れ、上の前歯が前方に傾いて突き出たり(上顎前歯の唇側傾斜)、上の左右の奥歯の幅が狭く(上顎歯列弓の狭窄)なったりする。つまり、お口ぽかんと悪い歯並びには密接な関連がある。

これまでの国内の小規模な横断的研究では、お口ぽかんの有病率は年齢とともに低下することが報告されている。また、お口ぽかんの有病率は、人種や生活環境などによっても異なる場合があるが、日本における子どものお口ぽかんの有病率を評価する全国的で大規模な調査は過去になかった。そこで研究グループは全国的な大規模疫学研究において、お口ぽかんの有病率が年齢や地域によって異なるかどうかを検証し、どのような要因がお口ぽかんに関連しているかを調査した。

有病率は年齢とともに増加、口呼吸やアレルギー性鼻炎などとの関連を示唆

全国における66の小児歯科を専門に診療をしている歯科医院において、定期的に歯科医院を受診している3歳から12歳までの3,399人の子どもを対象とした。日常の健康状態や生活習慣に関する44の質問からなるアンケートの回答を保護者に依頼。集計結果を年齢と全国を6つの地域に分けて、お口ぽかんの有病率に年齢差や地域差があるかどうかを検討した。

その結果、日本人の子どもたちの30.7%がお口ぽかんを示し、お口ぽかんの有病率は年齢とともに増加していた。また、子どものお口ぽかんの割合に地域差はみられなかった。44の質問項目のうち「唇にしまりがない」「鼻がつまる」「音を立てて食べる」など12の質問項目がお口ぽかんと関連していた。このことから、顎顔面の形態や位置だけでなく、口呼吸やアレルギー性鼻炎などが関連していることが示唆された。

小児は「口腔機能発達不全症」として保険診療の対象に

近年、子どもの口の健康な発達がとても重要であることが、徐々に明らかになってきている。これまで研究グループが行った小児のお口ぽかんに関する研究成果などがエビデンス(科学的根拠)として認められ、歯科保険診療において、2018年4月から「口腔機能発達不全症」に関する新病名のもと、「小児口腔機能管理加算」が保険収載された。また、2020年4月からは「小児口腔機能管理料」と「小児口唇閉鎖力検査」が新設され、お口ぽかんが保険診療の対象となった。このことは、従来の歯科治療の中心であった虫歯治療などの硬組織形態に関する疾患-修復モデルから、「食べる」「話す」「呼吸する」といった口腔機能に関する障害-改善モデルへのシフトが徐々に進んできていることを意味する。

今回の研究結果から、子どものお口ぽかんは、成長期において自然治癒が難しい疾病であると考えられた。今後、お口ぽかんの病態解析や改善法の確立などにより、お口ぽかんに対するガイドラインの策定が必要となる。「子どもの口の健やかな成長発育を目指し、より一層食べる、話す、呼吸するといった子どもの口腔機能に関する基礎・臨床的な研究を推進していきたい」と、研究グループは述べている。

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