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血中安定性と抗腫瘍効果を高めたヒトラクトフェリン製剤の開発に成功-東京工科大ほか

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2020年10月01日 PM12:15

さまざまな疾患の分子標的薬候補として期待されるhLF、血中安定性が課題だった

東京工科大学は9月30日、ヒトラクトフェリン(hLF)にヒト血清アルブミン()を融合し、血中安定性と抗腫瘍効果を高めたhLF製剤を開発したと発表した。この研究は、同大大学院バイオニクス専攻の佐藤淳教授らの研究グループが、、鳥取大学農学部との共同研究として行ったもの。研究成果は、「European Journal of Pharmaceutical Sciences」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

hLFは、自然免疫で機能するタンパク質であり、その作用からバイオ医薬品としての応用が期待されている。例えば、抗腫瘍効果以外では、急速進行性糸球体腎炎の主要因と考えられるNeutrophil extracellular traps(NETs)や、敗血症の主要因であるエンドトキシンと強く結合することで、その毒性を中和する。同研究グループの最近の研究で、hLFが脊髄損傷での主要因であるコンドロイチン硫酸に結合し、その毒性を中和することを発見している。hLFは、これら疾患への分子標的薬としての展開が期待される一方、血中安定性が低いという課題があった。そこで今回の研究では、血中安定性を向上させる方法として、HSA融合技術に着目し、ラットでHSA融合hLFの血中安定性と抗腫瘍効果(がん細胞の増殖阻害)を検証した。

HSAとhLFを融合することにより、血中安定性と抗腫瘍効果の向上に成功

まず、融合の向きを換えた2種類のHSA融合hLFを遺伝子組換え技術で作製してラットに投与し、その血中安定性を検証。結果、hLFのみと比較して、両融合hLF(HSA-hLF、hLF-HSA)ともに長い半減期を示し、特にHSA-hLFは顕著な半減期の延長を示した。hLFのみ、HSAのみの場合は、ヒト肺腺がん細胞株PC-14の増殖を阻害しなかったが、両融合hLFはその増殖を顕著に阻害した。また、hLFとHSAを融合せず同時に添加した場合は、その効果が認められなかったことから、HSAのhLFへの「融合」が、がん細胞増殖阻害活性に重要であることが示さた。HSA融合hLFのヒトがん細胞株に対する増殖阻害効果は、正常ヒト肺細胞株であるWI-38には認められないことから、がん選択的であると考えられ、今後抗がん剤としての展開が期待される。

HSA融合技術により、hLFの血中安定性、さらにその抗腫瘍効果の向上が確認された。HSA融合によるhLF活性の増強効果は、抗腫瘍作用以外でも認められることから、種々の疾患に対するバイオ医薬品としての実用化が期待される。既に、同製剤を用いて、hLFのバイオ医薬品開発に特化したベンチャー企業であるS&Kバイオファーマが、急速進行性糸球体腎炎、、がんなどの治療薬の開発に着手している。

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