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新型コロナウイルスなどの感染対策用クリーンユニットを開発-神戸大ほか

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2020年06月12日 PM12:15

患者の飛沫やエアロゾルの除去による感染機会低減へ

神戸大学は6月11日、新型コロナウイルスなどの感染対策のための、患者頭部の横に設置する吸入・浄化・排出一体型のクリーンユニットを開発したと発表した。これは同大医学部附属病院病理部・病理診断科の伊藤智雄教授と株式会社ソダ工業の共同開発によるもの。

日本では収束傾向にある新型コロナウイルス感染症だが、医療機関ではこれからも長期間の闘いが予想されており、患者・医療者いずれにも負担の少ない効果的な防護法が強く求められている。新型コロナウイルス感染症の根本的な感染源は、患者の口や鼻から排出されるウイルスを含む飛沫やエアロゾルで、これを積極的に除去することができれば大きな感染機会の低減効果が期待できる。

このユニットの開発に携わった伊藤教授は、ホルマリンや有機溶剤から医療者を守るための気流制御に詳しい。また、株式会社ソダ工業は、もとより気流制御技術を有していることから、今回の共同開発に至った。

画像はリリースより

気管挿管など各種処置に支障をきたさないオープン構造で、呼気を吸引し浄化する

開発されたクリーンユニットは、患者の呼気を能率的に吸引浄化する装置であり、ベッドに寝た、あるいは椅子に座った患者の横に設置し、口や鼻から排出される呼気をファンで強く吸入し、高性能フィルターによってエアロゾルや飛沫を除去する仕様になっている。排気は人のいない機械背部下方に排出。柔らかいフードを装着しているが、患者に触れても痛みなどを感じることなく、ある程度の高さの変化にも対応することが可能だ。既存のボックス型の防御装置と異なりオープン構造で、気管挿管をはじめとする各種処置に支障をきたさないよう設計されている。使用場面は、救急部、PCR検体採取所、外来、病棟、透析室、ICUなどさまざまな場面が想定され、すでに、同大医学部附属病院の救急ER室、透析室などで実際に利用が開始されている。

今後、耳鼻科外来、眼科外来などのリスクの高い現場へ応用できるよう、高さの調節機構を追加する予定。幅広く応用が可能で、かつ比較的安価に作製することが可能なことから、広く導入されるようになると、全国的に医療機関での感染機会を低減させることができるという。さらには、一般の施設でも、不特定多数の人と対面式で業務を行う場面などでの利用が可能で、業務にあたる人の負担・危険を大きく軽減することが期待できる、としている。

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